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イギリスの庭園と江戸の辻斬りと脱走兵と若くなる病気にかかった母と大人の恋と謎の言葉…。前代未聞の仕掛けに、選考委員の椎名誠氏は「ハメラレタ」と、小谷真理氏は「アヴァンポップでお洒落な現代小説の誕生」と絶讃。幻想怪奇小説の翻訳・紹介で知られる著者の満を持しての創作デビュー!第14回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作。
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イギリスの庭園が好きな作家・リコのひとり語りかと思っていると、そのかけらたちが、それぞれ全く別の物語になって、奔放に進んでいってしまうので、初めはいささか面食らう。すべてがリコの創造――あるいは想像――なのか、はたまた時空を超えた現実なのかも判然とせず、それぞれがそれぞれなりに独立した流れを作り、どこだかわからないところを流れていく。差し当たってはリコの物語を中心に据えてみるが、そんな読み方が正解なのかどうかもよく判らない。ここにいたと思ったら瞬時にあそこにいるような、よりどころのない心もとなさと、不思議な身軽さを感じさせる一冊である。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
な行の作家
- 感想投稿日 : 2013年3月30日
- 読了日 : 2013年3月30日
- 本棚登録日 : 2013年3月30日
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