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「第一話 小児病棟」のわたし…難病で何年も入退院を繰り返して人生を悲観する小学生。「第二話 一九九八年の思い出」のわたし…男に金を持ち逃げされ一文無しになったオカマのホームレス。「第三話 ルームメイト」のわたし…大学を中退してから職を転々とし、いまはスーパーのレジ打ちで糊口をしのぐ26歳の元OL。「最終話 供述調書」のわたし…郵便局を襲撃し、逮捕された実行犯。「明日の話はしないと、わたしたちは決めていた」で始まる三つの別々な話が、最終話で一つになるとき―。
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独立した短編集かと思ったのだが、登場人物がリンクしていてどうやら連作らしい、と判る。しかも最終話まで読むと、見事に一連の物語として繋がっている。だがこれは、なんという救いのない物語なのだろうか。過酷な人生を生きる人たちがそれぞれ主人公になっていて、それはそれでかなり救いがなさそうに見えるが、物語全体の主役とも言える人物の救われなさは静かに桁外れである。読後まで重苦しい気分を引きずる一冊である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
な行の作家
- 感想投稿日 : 2015年3月11日
- 読了日 : 2015年3月11日
- 本棚登録日 : 2015年3月11日
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