数学でわかる社会のウソ (角川oneテーマ21) (角川oneテーマ21 A 65)

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  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2007年5月10日発売)
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『数学的思考法』の著者、芳沢光雄さんの本。社会に対して数学という視点から問題提起し、解決しようという内容だ。
第1章「数学でわかる社会のウソ」では、GDPや消費者金融、耐震偽装などの数字のからくりについて述べている。確かに、数字というのは現実味があるからこそ、だまされやすいという気がした。数式が多く出てくるので読み応えがある。
第2章「数学が変えるビジネスモデル」では、実際に社会で使われている数学を紹介している。特に興味深かったのはベンフォードの原則についての記述だ。これは、ありとあらゆる数字の中で、最初に来る0以外の数字を調べると、1が1番多くて、2が2番目に多く、・・・9が1番少ないという現象のこと。ある調査で、この原則を大きく逸脱しているのであれば、調べなおす必要があるという。本書では、大学入試センター試験の数学を例にとり、説明されている。大学に入って、詳しく学んでみたいと思った。
第3章「数学教育を見直す」では、現在の数学教育に対する不満とともに、重要性を訴える声が聞こえてくる。例えば、大学の偏差値について。受験に使う科目が違えば、単純に偏差値を比較することはできず、私立大学は偏差値を上げるために科目を減らす傾向にある、というのは初めて知った。大学の教育内容を重視ようになってほしいと思った。
数学の視点というのは社会に出てからも役に立つのだ、と改めて感じた一冊。それを次の世代に伝えていけるような教員になりたいと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2011年1月24日
読了日 : 2011年1月2日
本棚登録日 : 2011年1月2日

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