アミーリア12歳。
春休みには、クラスのみんなみたいにフロリダへ遊びに行きたいと思っていた。
英文学教授のお父さんは、旅行なんて苦手で、いつも憂鬱で悲しそう。
お母さんはアミーリアが2歳の時に死んだので、とくに思い出もない。でも、オブライエンさんという女性がいつもそばにいて、最高のマフィンを焼いてくれる(お母さんの妹だ)
結局春休みはいつも通っている近所の陶芸教室で過ごすことになるのだが、そこに遊びに来ていた男の子、ケイシーと心を交わしていく。彼もどこか傷を抱えていて、普通の人みたいにアミーリアのことを「かわいそうに。」とは言わない。そしてケイシーとの遊びのうちに、お母さんの幻影のような人に出会ってしまう。その人は実は…
物語の合間に、素敵なエミリ・ディキンソンの詩の引用があったり、オブライエンさんの作ってくれる匂い立つようなマフィンやケーキの描写、陶芸教室で作るウサギの置物や、登場人物の着ている服まで、作者が絵本作家でもあるせいか、とっても彩やかに描かれ、目に浮かぶよう。
結局エイミーの春休みは、フロリダなんかに行くよりも、忘れられない素晴らしいものになる。
なかなかチャーミングな作品でした。中学生くらいの子たちにぜひおすすめしたいです。
面白かったのが、舞台背景が1999年だってこと。ケイシーは2000年問題をとても気にしているんです。
それから、パリやエッフェル塔も素敵なお話のエッセンスになって登場します
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
YA文学
- 感想投稿日 : 2021年5月27日
- 読了日 : 2021年5月27日
- 本棚登録日 : 2021年5月27日
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