The Grass Harp (Vintage International)

著者 :
  • Vintage (1993年9月28日発売)
4.10
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感想 : 6
4

今までカポーティはIn Cold Bloodの重くて怖いイメージしかなくて、避けていたのだけど、妹から、カポーティは明るいのもある!と言われ薦められるがままに読んだ本。妹の本なので実家で読んだ。

明るいかは置いておいて(in cold bloodに比べれば格段に明るい)、おもしろい。50年代の作品と言うこともあり、差別用語、Nワードやジプシーなど、ばしばし出てくるから、なんだか冷や冷やした。だけど、書き方、物語の運び、わくわくする!設定がまずとっても夢があってすてき!

少年の成長の物語、と言ってしまえばそうなんだけど、私は割とコミュニティの様々な人間の人生について書いたお話だと感じた。そして少年よりもおばあちゃんに感情移入してしまう私って。。。苦笑

主人公の孤児コリン。引き取られた老姉妹ドリーとヴェレナの薬草を使ったレメディのレシピを巡り(根はもっと深いが)勃発した姉妹ゲンカ。16歳のコリンと60歳のドリー、そしてメイドの黒人であるキャサリンが、木の上の家、つまりツリーハウスに家出する。

このなんともかわいそうなんだけど、かわいく、そして可笑しくもあるトリオ。木の上を仮住まいにし、将来、どう暮らしていく算段をつけようとしているところに、小さな町の住人達が、助けに現れたり、いちゃもんをつけにきたり。みんなトリオの事情はまるで無視で、キリスト教的規範云々にかこつけて、銃まで持ち込む騒ぎ。

違うものと、受け入れられている同質なもの、
選べるものと、チョイスを渇望しながらも選べないもの、
見せれるものと見せれないもの、
話せる人と話せない人、

何でも話せる人に会えたけど、話すことがないこと。

歳を取ることや、人を愛すること、どこかに属すと言うこと、

様々な人生のテーマが、木の上の小さな家の中で紐解かれ、小さなコミュニティに大きな波を起こす。

その区切られた異質な空間が、つながりを生み、そしてまた、普通の生活ではみえなかった人の関係の本質を暴きだす。

書き方がとてもシャープで、皮肉たっぷり。
それでいて、周りのものの描写が瑞々しく、目を閉じるとその風景がうかんでくるよう。

ツリーハウスから降りた後の話がまた、日常に戻るようで戻れない、浦島太郎が玉手箱の蓋を開けちゃったような、そんな世界をふつうに書いているところが好きだった。

筆者は人間観察にとても長けた人だったのだろうな。

他の短編もぱらぱら読んでいる。カポーティばかり何作も続けて読んだりはしないと思うけど、もう避けたりしない。

おもしろかった!
妹ありがとう!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: novels
感想投稿日 : 2014年8月31日
読了日 : 2014年8月31日
本棚登録日 : 2014年8月31日

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