Amazonのセールで拾った本でしたが、掘り出し物でした。
イスラム教国家での紛争を宗派対立という形の解説で落とし込みがちな日本のメディアの見解にメスを入れているのが良いです。
イスラム圏は、精神的なハードルが高いと思いがちな日本人の発想を、突き崩す良書だと思います。
もし、イデオロギー対立であるとしたならば、ソ連と米国も冷戦が終了していたら、対立も終了していたはず。という部分の記述には納得しました。実態は、帝国同志の抗争であると。地政学的な利害対立の方が、ずっと多いし大きいとも書かれていました。
また、イラン革命は何故起きたか。という部分も分かりやすく説明してありました。1979年の革命だけにフォーカスを当てていても理解できないと。1953年まで遡る必要があると触れてあったことも、今迄のTVやメディアの解説の視点とは違っていました。
米国とイランは共に被害者意識を持っている点が特徴であること。また、ペルシアとアラブは古代から現代に至って戦った事がないことから、イスラエルの敵は周辺のアラブ諸国であって、イランではない。という切り口も新鮮でした。こういう言及をしてくれる日本のメディアが無かったなあと思いながら楽しんで読み進めることが出来ました。
読書状況:積読
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- 感想投稿日 : 2017年3月5日
- 本棚登録日 : 2016年10月30日
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