ワイルドライフマネジメントという言葉が意味する基本的なコンセプトはこの書を読むことによって分かるが、それを実行することによって展開していく三次元的な広がりのようなものはあまり感じ取ることができなかった。
シカやクマを扱った具体的な事例もいくつか紹介されてはいるものの、表面的な事象のみをなぞっているような印象から抜け得ない。
このあたりは、職業作家と比べるのはちょっとアンフェアかもしれないが、日本語として若干の読みづらさがあることもひょっとしたら影響しているか。
あるいは、日本においてはまだ1冊の本を存分に編めるほどにワイルドライフマネジメントそのものが浸透しておらず、根付いてもいない、という証左なのかもしれない。
科学的見地に立って客観的に野生動物をマネジメントしていく、という行為は理屈としては正しいのであろうが、どうしてもそこにすら"人間の作為"が大きく介在している、という違和感は禁じ得ない。
どこまでいっても、人が恣意的に環境をコントロールしようとしていることには違いないから。
いつも思うのはやっぱり、"自然って何だろう?"という問いかけ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
単行本
- 感想投稿日 : 2012年4月4日
- 読了日 : 2012年4月4日
- 本棚登録日 : 2012年4月4日
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