ドロリと濃厚でいつまでもまとわりつくような、決して快いとは感じられないがかといって憎悪する類のものでもない、そんな情念がすべての作品の底に敷き詰められている。
理屈で説明しきることは到底叶わない男と女の業が非常に高い共感度を以て描かれているので、読者は登場人物たちの言動や物語の進行を理性では拒みつつも、脳幹の部分では認めざるを得ない、そんな思いに囚われる。
出てくるのは皆、自分であり自分の家族であり、身近にいる誰かなのだから。
そしてここに著されているのは、おそらくは女性作家にしか書けない感覚なのだろう。
読書状況:読み終わった
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文庫
- 感想投稿日 : 2017年5月6日
- 読了日 : 2017年5月6日
- 本棚登録日 : 2017年5月6日
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