事件は“きちがい”ハッター家の主、ヨーク・ハッター(とおぼしき)の水死体が発見されたことに端を発する。
毒殺未遂、あろうことか楽器のマンドリンで撲殺されたハッター夫人…次々と不可解な謎に見舞われるハッター家。それに立ち向かう元俳優の名探偵ドルリィ・レーン…
ワクワクする筋書き、綿密に計算されたロジック、そして意外過ぎてまず予想出来ない犯人(自分は作者のミスリードに完璧にはめられました、2名とも笑)。とても鮮やかな一冊でした。
そしてこのラスト!
個人的ミステリ史上最もショッキングであろうこのラスト6行に、戦慄するとともに、なんというか、とても深く考えさせられた。
この小説の犯人に限らず、救いようのない悪が深く根付いている人間がいることは事実で、それ自体どうしようもない悲劇であるし、それに対する審判のやり方が“これ”しかないというのも悲劇であるかもしれない。
うーんそれにしてもこのラストでかなり独特の存在になったドルリィ・レーン。こんな探偵は、本来ミステリのなかにいてはいけない存在ではないか。探偵はあくまで探偵であり、運命の審判者であるべきではない。
そういうタブーをまんまとやらかした、とんでもない探偵である。
しかし魅力的だからとても嫌いになれず、参った。
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カテゴリ:
hiphop
- 感想投稿日 : 2011年6月24日
- 本棚登録日 : 2011年6月24日
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