「アメリカ社会」入門 英国人ニューヨークに住む (生活人新書)

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fujiomi11さん 和書   読み終わった 

p.57 ぼくは、多くのイギリス人の考えとはちがって、アメリカ人は皮肉を言わないわけではないと思う。イギリス人と皮肉の言い方が違うだけだ。イギリスでは、自分が冗談を言っていることを表現や声の調子に出すことなく、機知に富んだ言葉で口にするのが高く評価される。アメリカでは全く逆だ。きつい皮肉を言っても構わないのだが、そのときは目配せをしたり、笑みを浮かべたり、あるいは大げさな口調で言ったりなどして、それが皮肉であることを示さなければならない。それに、皮肉を言っていい時と場合がある。アメリカ人は、ふだんの会話では皮肉はあまり用いないようだ。

 さらに困ったことに、アメリカ人は「いま自分は冗談を言っています」ということを、まったく面白くない方法で相手に告げる。「いや、冗談」というような調子で、文末に ”not” とひと言付け足すのだ。こんな馬鹿げた、うんざりするような言い回しをイギリス人が仮に使うことがあるとしたら、こうした冗談を言ったアメリカ人相手に「そりゃ面白い。いや、冗談」と切り返すときくらいだろう。


p.84 アメリカ社会の基本的な特徴のひとつは、誰も責任を負おうとしないことだ。この国の弁護士の数を見ればいい。彼らは、あらゆる訴訟に首を突っ込んできては、さまざまな主張や反論をくり広げる。かくして、どんな犯罪も、はてしない申し開きや自己弁護なしには決して裁かれないことになってしまうのである。たとえば、この国では、クルマで人をはねてしまっても、謝ったりしてはいけないとよく言われる。謝罪でもしようものなら、自分の落ち度を認めたことになるからだ。


p.92 アメリカ社会に巨大な貧富の格差があることは、よく指摘されている。しかし、僕にとって驚きなのは、たいていのアメリカ人がこの格差にいかに平気でいるかということの方である。アメリカ人の考えでは、誰でも人生のチャンスは平等なのだから、お金持ちはそれに見合う努力を積み重ねてきたのだろうし、貧しい暮らしをしている原因はその人自身にあるということになるのだろう。自分が成功できたのは、恵まれた条件、たとえば親に資産があって教育に十分な費用をかけてもらえる環境で育ったことのお陰も大きいなど考える人はあまり多くない。

 低収入にあえぐ人びと自身も、富裕層に対して驚くほどやさしい。というのも、彼らは富裕層の暮らしぶりを、自分もしくは自分の子どもたちがいつの日かたどり着ける目標と見ているからである。


p.150 たしかに、英米人はお互いの英語を、99パーセント理解できる。しかし、面白いことは決まって、残りの1パーセントの部分で起きるものだ。素晴らしく機知に富んだオスカー・ワイルドは、通念をひっくり返して、こう述べている。「アメリカ人とイギリス人は、あらゆる点で同一である。ただし、言語だけは例外であるのはいうまでもない」


p.157 "That's what she said." (「そう彼女は言ったんだ」)は、誰かが意図せずに性的な意味にも取れる発言をしたとき、それをまぜっ返すのに使う表現だ。たとえば、ある人が「うわ、君のは大きいね」などと口にしたら、すかさず横から "That's what she said." と言ってやるのである。イギリスでは、このようなときに "As the actress said to the bishop."(「女優は司教にそう言った」)と言う。僕は何度もアメリカ人に、イギリス流の言い回しの方が良く出来ていると言い張ったのだが、残念ながら、アメリカでは広まることはなさそうだ。

レビュー投稿日
2014年11月9日
読了日
2014年8月12日
本棚登録日
2014年8月12日
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