神樹

  • 朝日新聞出版 (1999年9月1日発売)
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感想 : 6
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樹齢千年を超える大木を祀る村「神樹村」の、趙、石、李、それぞれの一族3代をめぐる物語。というと歴史大河小説のようだが、一筋縄ではない小説。
神樹が何百年ぶりに咲かせた花の霊力により、死者を蘇らせるあたりから、過去と現在が入り乱れ、物語は好き放題に蛇行し始める。この蛇行が、慣れてくると癖になる面白さ。
また登場人物も500頁を超える紙数の割には多くないのに、それぞれの相関関係は複雑であり(系図は冒頭に掲げられている)、深みがある。

中国という舞台は、作者もあとがきで述べるように、起こらないことが無い驚異の世界。それを魔術的リアリズムとして捉えて愉しむという読み方は、長閑な解釈のようである。むしろ現実の過酷さの発露という見方、あるいは民族の業のようなものを訴えた結果、たまたまそれが魔術的に見えてしまう、そんな読まれ方を望んでいるようだ。

中国という国家・文化の測れなさ、途方もなさに触れることができて満足。良書。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: アジア・オセアニア文学
感想投稿日 : 2016年2月6日
読了日 : 2016年2月6日
本棚登録日 : 2016年1月17日

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