なぜ、タモリさんは「人の懐」に入るのが上手いのか? 「生き方の達人」に学ぶ、誰とでも自然体で付き合えて仕事が楽しくなる心理テクニック

  • 廣済堂出版 (2012年1月1日発売)
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本棚登録 : 299
感想 : 41
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 この本の著者、内藤氏はとにかく多作家で心理学関係の本で今一番多く出版しているのではないだろうか。僕の基準では、こういう多作家(特に心理学関係の本に多いが)は、どれも内容が似通っている、又は内容が薄い本がほとんどである。だから基本的に、この著者の書いた本は読まない。(心理学関係の本で言えば、欧米で発表された研究・論文を引用しているに過ぎない本が多すぎる)

 では、何故この本を紹介するかというと「タモリ」本としてはかなり優秀だと思う。タモリはインタビューや対談等ほとんど応じないので、タモリが直に話した内容等が、客観的にここまでまとまっている本はほとんどないはず。(以前、ロッキンオンから出てたタモリ研究の本が白眉だが、それに続く資料的価値はある)

 個人的に、一週間でみる必ず見る(スポーツ以外の)番組は「タモリ倶楽部」とNHK将棋トーナメントくらいしかない(不定期にやる「ブラタモリ」必ず見る)し、いわゆる「お笑い番組」を見ても笑ったことがない。というか、全く面白くない。僕を笑わせてくれる唯一の芸人がタモリなのだ。
 年齢のせいか、明石家さんまみたいに常に騒々しい(関西)芸人は基本的に嫌いだし、ビートたけしはもはや文化人だし、あとは一発芸ばかり。まあ世間がそういうものを求めるから、僕が少数派ということで、閑話休題。

 この本で一番印象に残ったのは
「少しずつでも自分を変える努力をしていないと、どの業界でもうまく成功を維持し続けることはできない」
という箇所。心理学でいう「擦り切れ効果」というらしいが、常に同じだと、飽きられてしまうということだそうで、言われてみれば確かにそうかも知れない。
 人間というのは、同じ趣向のものを求めたがる一方、新奇なものにも惹かれていく。では「飽きられる」のと「常に同じものを求められる」との、境界は何かというと「求められている核となる部分は変えずに、それ以外を少しずつ変えていく」しかないのではないかと思う。
 タモリは僕が小さい時は、今日のような「知性」を売りにしていなかったような気がする。でも最近は、(タモリが興味を持つ)多くの事柄について専門家が舌を巻くような知識を持っている(タモリ倶楽部を見ればよくわかる)。その一方、ふざける時はそういう知性を微塵もみせない。僕なんかは、小さいころからタモリを見ていて「この人はいろんな面があって、どんどん変わっていくな」と思っていたから、この本に書いてあった「擦り切れ効果」という箇所を読んで、妙に腑に落ちた。

 少なからずともタモリが好きな人は読んでいて損はないと思う。内容が薄いと言っても、何らかの参考になる箇所は読んでいてあると思う。ただ、この本を定価で買うとなると、僕のようなタモリオタクを除けば費用対効果が悪すぎるので、古本等で見つけ安くなっていれば「買い」だとおもう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年1月14日
読了日 : 2012年1月23日
本棚登録日 : 2013年1月14日

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