ヴァニラとマニラ (河出文庫)

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本棚登録 : 27
レビュー : 3
著者 :
深川夏眠さん  エッセイ・日記・自伝   読み終わった 

天体や飛行機を愛した同性愛研究家、
稲垣足穂のエッセイ(と小説)。
1969年に仮面社から出た同タイトルの作品集に
「山ン本五郎左衛門只今退散仕る」を加えた全5編。

■臀見鬼人(いさらいみのおにびと)
 お尻フェチによる美尻礼賛(……ぐぬぅ)

■緑の蔭
 「緑蔭」とは大辞林によれば「青葉が茂って出来る日陰」だが、
 ここでは意味が違う(!)
 青臭くも懐かしい
 同級生らの思い出が緑色と強く結びついている
 ――といったところか(……ぐぬぬぅ)
 それはともかく、
 神戸三宮の坂道「トア・ロード」の名を巡る考察が素敵。

■ヴァニラとマニラ
 タイトルは、
 研究者の間で "La Vanille et la Manille" の通称で
 知られる、
 サド侯爵の1784年末のルネ夫人宛て書簡より。
 ヴァニラは興奮性の植物、マニラは葉巻の名である由。
 足穂曰く、太巻のマニラ葉巻は
 男性器のイメージを喚起するとのこと(……ぐぬぬぬぅ)

■Prostata~Rectum 機械学
 prostataは「前立腺」,rectumは「直腸」。
 足穂のいわゆる
 「A感覚とV感覚」考察(……ぐぬぬぬぬぅ)
 女性を悦ばせるための小道具として
 男性が着想したアイテムは、
 足穂に言わせれば「男性の空想的演繹を出ない」〔p.160〕。
 女性を動かしているのは
 「利害と快楽と虚栄心」〔同上〕であり、
 彼女らが猥談に無関心なのも、
 表層ではなく実利を追求するからだ、とのこと。
 現代はいくらか事情が違っている――というか、
 もっと複雑・多様化している気もするが、なんとなく頷ける。

■山ン本五郎左衛門(さんもとごろうざえもん)只今退散仕る
 江戸時代、
 備後三次藩(現・広島県三次市)に実在した稲生武太夫こと、
 幼名・平太郎を襲った怪異の記録
 「稲生物怪録(いのうもののけろく)」を
 平太郎の一人称で小説化した作品。
 近所の人、親しい人らが平太郎の身を案じて
 代わる代わるやって来るが、
 自分たちが夜警を務めるからゆっくり休んでくれと言いながら、
 妖怪変化が登場するや腰を抜かすは逃げ出すはで役に立たず、
 「夜伽ノ衆ハ却ツテ邪魔ダナ」と呟く、
 胆の据わった平太郎がカッコイイ。

レビュー投稿日
2014年4月22日
読了日
2014年4月22日
本棚登録日
2014年4月14日
4
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