泉鏡花集 黒壁―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)

3.74
  • (11)
  • (7)
  • (14)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 161
レビュー : 10
著者 :
制作 : 東雅夫 
深川夏眠さん  幻想文学   読み終わった 

昨夏、読む気満々で購入しながら一年も寝かせてしまった。
アンソロジスト東雅夫がセレクトした、鏡花の文庫未収録怪談集。
鏡花の文章は滑らかで、するする頭に入って来ては
絢爛なイメージの花を咲かせてくれるのだけど、読み終えるとスーッと潮が引いて、
ちょっと時間が経ったら、もう内容を思い出せない、なんてことが多い。
自分だけかもしれないけど(笑)
でも、この読後の酔い醒めの感覚が好き。
で、昔はただただ幻想・耽美……と受け止めていたけれど、
水木しげる『神秘家列伝《其ノ四》』を読んで、
鏡花が虚弱で神経質で、しかも食にこだわりを持っていたらしいと知って、
適当に拾い読みなどしてみると、
期待が外れてガッカリしたとか、美味しくて食べ過ぎて調子を崩したとか、
確かに食い意地が反映されたエピソードがいろいろあって微笑ましい。
この本でも「紫障子」にて、主人公が玉子焼でひどい目に遭ったかと思うと、
切込鍋なる料理の、見た目も美しく、いかにも美味しそうな描写が出てきて、
読んでいるこちらも味を想像してニマニマしてしまったのだった。
表題になっている掌編「黒壁」が最もストレートに恐ろしい。
他は解説に記されているとおり、生理的嫌悪感を催させる不穏な話や
郷愁と(人外を含む)美しい女性への憧憬が描かれた夢幻的な作品で、
夜更けに不思議な美女二人組を目撃しておののく「霰ふる」の、
仲のいい少年たちの会話が可愛らしい。

レビュー投稿日
2013年9月4日
読了日
2013年9月4日
本棚登録日
2013年8月26日
4
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『泉鏡花集 黒壁―文豪怪談傑作選 (ちくま...』のレビューをもっとみる

『泉鏡花集 黒壁―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

『泉鏡花集 黒壁―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)』に深川夏眠さんがつけたタグ

いいね!してくれた人

ツイートする