電信柱と妙な男: 小川未明怪異小品集 (平凡社ライブラリー)

著者 :
制作 : 東雅夫 
  • 平凡社 (2019年7月12日発売)
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本棚登録 : 80
感想 : 10
4

童話作家として名高い小川未明の「影の世界」。
アンソロジスト東雅夫セレクト、未明地獄編とでも呼びたくなる
儚げで残酷で美しい物語の数々(厭戦・反戦感情強し)。

小学生のとき「赤いろうそくと人魚」その他を確かに読んだはずだが、
中身が記憶にない(!)……なんというポンコツだ私は(笑)!!
我が半生に一点の悔いアリとすれば、
読書日記を綴り、保管してこなかったことだなぁ……と、しみじみ。

そんなワケで、定番として扱われる人口に膾炙した名作と
比較しようもなかったのだが、ともかく、この本は面白い。

構成は以下のとおり。
後半は特に、不吉な死の匂いが充満する、
大人の、しかも「好事家」向けの作品群。


 小川未明の幻想文学観を示す随想。
 ラフカディオ・ハーン一周忌に寄せた、
 恩師を偲ぶ「面影」他。

Ⅰ 妖魔たち
 人の形を取って現れる妖(あやかし)。
 厭世的な人間嫌いの男が深夜の散歩で出会ったのは……
 「電信柱と妙な男」他。

Ⅱ 娘たち
 可憐な美女・美少女たちの姿を写し取りながら
 世の無常を感じさせ、
 結末の残酷さにハッと胸を突かれる作品群。
 男たちを足止めし、沈没させる、砂漠の町の
 悲しい伝説の銘酒「砂漠の町とサフラン酒」他。

Ⅲ 少年たち
 此岸と彼岸を身軽に往還する、
 あるいは彼方に攫われてしまう少年たちの様相。
 ソログープ「かくれんぼ」の印象を喚起される
 「過ぎた春の記憶」他。

Ⅳ 北辺の人々
 作者の故郷である上越地方の海辺に張られた幻想の網。
 森の中の家でひっそりと手仕事に勤しむ女を描く、
 和製ラヴクラフト的なムードを醸し出す
 「森の暗き夜」他。

Ⅴ 受難者たち
 章題どおり、
 理不尽な目に遭って死の恐怖に直面する人たちの姿。
 都会で初めて見た機関車に
 得体の知れぬ脅威を感じる老婆「血の車輪」他。

Ⅵ マレビトたち
 漂泊者の怪しいシルエット。
 不老不死の托鉢僧が訪れる度、村の誰かが死ぬ。
 彼は死神なのか、それとも、信仰心のない人々に
 罰(ばち)が当たっただけなのか……「僧」他。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  幻想文学
感想投稿日 : 2019年7月25日
読了日 : 2019年7月25日
本棚登録日 : 2019年6月7日

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