イチ押しは「庭はみどり川はブルー」(1987年)。
死ぬに死なれぬ魂が生者の身体に入って……
というパターンのお話は多々あると思うけど、
本来自分のものではない肉体を動かそうとしても
思うに任せず歯痒くてイライラするとか、
最終的にはやっぱり成仏する方向で、
束の間、二人分の精神が
ごにょごにょと入り混じる感じになりつつ、
気づいたときには切り離されていて、
結局、死者は彼岸へ消えていくという――。
分離のタイミングは、
遺された側(=身体の持ち主)が、
亡くなった人の死を現実として受け入れた時点、
なんですね。
成仏できない死者の妄執を描きながら、実は、
その死を納得できずにいた家族に気持ちの整理がついて、
ずっと掴んでいたスカートか、エプロンか、
そういったものの裾を放した瞬間、
別れが訪れる……という物語。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
《あ》~《お》
- 感想投稿日 : 2011年12月13日
- 読了日 : 2010年10月28日
- 本棚登録日 : 2011年12月13日
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