月岡芳年伝 幕末明治のはざまに

4.00
  • (1)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 16
レビュー : 2
著者 :
深川夏眠さん  評伝   読み終わった 

丸尾末広×花輪和一『新・英名二十八衆句』で
初めて名を知り、
後にテレビ番組で荒俣宏氏が激賞しているのを観て
興味を持つようになった浮世絵師・
月岡芳年(1839-1892)。
その芳年の、
美術史家による評伝が出たので読んでみた。

様々な題材を扱っていたにもかかわらず
「血みどろ絵」「無惨絵」が
枕詞のように定着したのは、
美術史家以外の言論人
(三島由紀夫、澁澤龍彦、種村季弘……)が
芳年画の血腥い部分を
殊更にクローズアップして紹介したのが原因だったと
初めて知って目から鱗。
芳年は潔癖症ではあったが
温情家で弟子の面倒見もよく、
決して変人ではなかったそうだ。
そうしたバランス感覚のいい絵師が、
己に厳しく芸術と向き合い、
先行作家の模倣なども踏まえて
多様な作品を残したものの、
明治期の浮世絵師に対する美術界での評価が
高くなかったために
これまであまり研究が進んでこなかった由。

死去を受けて、
当時の読売新聞(明治25年6月13日付)に
掲載されたエピソード、
芳年が門人に向かって告げたとされる言葉が美しい。

> 人若し画に衣食せんと期すれバ
> 初めより学ばざるに如かず
> 画を鬻ぐハ只練磨の餘徳に過ぎず

ところで、この本は装幀も凝っており、
カバーにおいて、血飛沫の表現に当たるところが
穴開きになっていて、
本体表紙の赤が浮かび上がっているのだった。

レビュー投稿日
2018年10月10日
読了日
2018年10月10日
本棚登録日
2018年8月22日
3
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『月岡芳年伝 幕末明治のはざまに』のレビューをもっとみる

『月岡芳年伝 幕末明治のはざまに』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする