〇まさか自分が書いた小説と同じ事件が目の前で起こるなんて!?でも自分はやってないから居直るしかないよね…
ミステリー作家の三浦は十年来ヒットに恵まれていないが、明日出版の高橋社長が「ぜひあなたの作品をヒット作に仕上げる」と意気込んでやまない。不安がりながらも、オーダー通り「北海道新幹線殺人事件」を書き始める。
初稿を出すとこんなんじゃだめだと突き返され、高橋の言うとおりに直すようになる。また宣伝も特にされていないが高橋は「十分している」と答えるばかり。よくわからないまま脱稿し、北海道新幹線の開業を迎える。
北海道新幹線の一番列車に、作家の若林とともに乗り、出発する。
すると、大宮から仙台の間で、9A座席で人が死んでしまう。三浦は戦慄するが、警察は三浦のことを疑う。
小説をなぞった殺人が起こってしまったことで、本は大ブレイク。
しかし警察はなぜ小説通りに事がすすんだのか調べていくが、作家の若林が殺されたことも影響して三浦だけでなく別の側面があるのでは、と警察では推理し始め…
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筆者がどんな経験をしてこの物語を書いたのかはわからないが、小説通りに事件が進んでいく、というのは古くて新しい手法だ。
今回は、読者には操っていたのが高橋社長だとわかるが、実際の事件が具体的にどのように起こり、実行されたのかまでは明かされず、始終ドキドキしながら「本当に小説通りなのか?」と疑心暗鬼を抱きながら「あぁ~本当にそうなったんだ」「で、だれがやったの?」みたいな展開になるわけです。
三浦の居直る様子が最後にちょっとむかつく形で書かれていますが、そこは仕方ないような気がしますけどもね…やってないし、わかんないし。決めつけはよくないけど、警察も「かかわっていない証拠」がない限りはなかなか疑うことを辞められないジレンマはあるのだろう。
十津川班が結論にたどり着くまでの推理が、頑張ってひねり出してる。いろんな可能性を探り、探り、行動し、一つの答えへとたどり着くのだ。こうして今日も日本の平和は守られていく。
- 感想投稿日 : 2020年9月22日
- 読了日 : 2020年5月10日
- 本棚登録日 : 2020年5月10日
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