それでも空は青い

  • KADOKAWA (2018年11月29日発売)
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本棚登録 : 736
感想 : 97
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七つの短編集。
久しぶりに荻原さん作品を読んだが、やはり良い。

一番好きだったのは「僕と彼女と牛男のレシピ」。
若いバーテンダーと年上のシングルマザーとの関係を温かく描く。
近頃よく聞く、母親の交際相手による子供の虐待ニュース。でもこうやって少しずつ、懸命に歩み寄っている親子だって沢山いるはず。
カクテルのレシピと絡めながら三人の関係が変化していく様を描くのが上手い。

次に好きだったのは「君を守るために、」。
主人公の女性がマイペース型で苦手なタイプだなと思っていたが、その彼女と部屋に現れた幽霊とのやり取りが面白かった。
浴槽や冷蔵庫に下着一枚の裸の男の幽霊が丸まっているなんて、描き方によっては立派なホラーになるのだが、荻原さんならではのユーモアで笑える作品になっている。

最終話の「人生はパイナップル」。どんな例え話かと思ったら、意外にも戦時中の台湾を舞台にした話だった。
他にも荻原さんらしく、いわゆる勝ち組ではない人たちのもがきをシリアスとユーモアを上手く交えつつ描いていて楽しめた。
読み終えてタイトルの「それでも空は青い」が胸に響く。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ドラマ その他
感想投稿日 : 2019年9月19日
読了日 : 2019年9月19日
本棚登録日 : 2019年9月19日

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コメント 2件

moboyokohamaさんのコメント
2019/09/20

読みたくなったです。

fuku ※たまにレビューします さんのコメント
2019/09/21

コメントありがとうございます。
設定や結末は明るいものばかりではないものの、荻原さんらしいユーモアや温かさが絡めてあって読みやすいです。

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