生まれつき体が弱い一太郎を心配するあまり、畏れ多くも神様たちまでを一太郎の前に呼びつけた兄やの仁吉と佐助。
しかし呼びつけられた神様たちは怒ることなく用意された酒や食事を楽しんでいる。それでも神様たちは一太郎に宿題を一つ出す。
それが一太郎は何に「なりたい」のかという答えを考えること。
答えが神様たちの気に入れば叶うけれど、そうでなければ…考えるだけでも恐ろしい。
一太郎が答えを考えている間も次々と事件は起こる。
妖になって空を飛びたい男、
菓子職人になって子供たちに菓子を振る舞いたい道祖神、
猫又になって世話になった家をいつまでも見守りたい染屋、
激しすぎる利かん気の男の子の親になりたい男女、
来世は何かになって立派に成し遂げたい、その何かを見つけたい幽霊。
消えた死体やら身代金騒動やら猫又の長決めやらいろいろあるが、いつものように体の弱い一太郎に代わって妖怪探偵団が探索から犯人捕縛まで活躍している。
一太郎は安楽椅子ならぬ分厚い布団と夜着に埋もれながら推理している。
そんな中で一太郎が神様からの宿題に出した答えは…?
私なら一も二もなく丈夫な体に生まれ変わりたいというところだが、それではこのシリーズは成り立たない。
立派な体と行動力、商売やら事件の謎解きやらなんでも出来る才覚があれば妖怪たちの力を必要とすることはないだろう。
仁吉と佐助は一太郎を布団に押し込めたり激苦な薬湯を持って追い回す必要もないし、商売で忙しい一太郎は屏風のぞきと囲碁をやったり鳴家たちと遊ぶ暇もなくなるだろう。
相手にしてくれないとなれば自然と妖たちは一太郎から離れていってしまう。
それではしゃばけシリーズにはならない。
それを考えると、一太郎が神様たちに伝えた答えは特に驚きはなかったけれど、これしかない、というものだった。
そして神様の答えは前作の外伝「えどさがし」と繋がるようなところもあって思わずニヤリ。
やはり神様の言う通りということでしょうか。
ちょっと困るところもあるけれど、やっぱりいつまでもそばにいて欲しい。
そんな愛すべき妖怪たちに囲まれているのが一太郎なのでしょう。
- 感想投稿日 : 2015年10月3日
- 読了日 : 2015年10月3日
- 本棚登録日 : 2015年10月3日
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