伊勢佐木町探偵ブルース

著者 :
  • 祥伝社 (2019年8月8日発売)
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本棚登録 : 249
感想 : 39
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先日読んだ学園シリーズはガッカリだったが、こちらはなかなか良かった。

伊勢佐木町で細々と探偵業を営む桂木圭一と、彼の母親の再婚により義弟となったエリート刑事・一之瀬脩がコンビとなって様々な事件を解決していく連作短編集。

桂木が受けた依頼の事件と同時期に起きた事件に繋がりが見えてきて…という展開は出来すぎな感もあるが、東川作品はこのくらいのライト感がちょうど良い。
第一話の猫探し、第二話の女装趣味判明、第三話の家出少年、第四話の浮気調査がそれぞれ別の事件とどう結び付くのか、楽しみながら読める。

ショボいのに見栄っ張りで考えていることが丸出しな桂木と、彼を『兄貴』と無条件に慕う助手の真琴コンビ。一見チンピラとその舎弟といった感じでちゃんと依頼をこなせるのかと思いきや頑張っている。
一方、桂木の義弟となった一之瀬も一見クールなエリート刑事然としているものの時に慌てたり感情的になったりと面白い。桂木と一之瀬コンビが次第に噛み合っていくところも楽しい。

この感じだと続編があるのだろうか。
まだ姿を見せない母親の再婚相手や、一之瀬が隠したい寝室、そして警察に敵対心を持つ真琴が桂木と一之瀬の関係を知ったら…と興味は尽きない。
チラッと出てきた冴島姉弟探偵も桂木&真琴コンビに似てなかなか良いキャラクター。
家出少年の回などはミステリーとしても少年の機転も楽しめた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー・名探偵
感想投稿日 : 2020年9月2日
読了日 : 2020年9月2日
本棚登録日 : 2020年9月2日

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