牛をつないだ椿の木: 童話集 (角川文庫 緑 279-1)

著者 :
  • KADOKAWA (1968年2月1日発売)
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本棚登録 : 41
感想 : 6
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新見南吉の物語がここまで面白いということに初めて気づいたのが、この「牛をつないだ椿の木」を読んだ時でした。

物語自体は特に奇抜な内容でもなんでもないのですが、主人公が思いつく善行がなかなか成就しないという骨子に、脇役がそれぞれ面白く絡むという話の中に
人生のむずかしさ、もどかしさ、そして最終的には人間の希望や優しさが映し出されていく美しい話です。

この話が南吉が亡くなる1年前に書かれているということもなんとなくこの作品のぬくもりと無関係ではないのではないか?と思います。裏庭にやってくる蜂、おどろくほど小さな卵をうむ鶏。読むほどに光まぶしい裏庭の木々、心地よい土の香り、高い空。そういう自然が目に浮かびます。

まだ生きていてほしかった作家のひとりです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 物語
感想投稿日 : 2015年9月13日
読了日 : -
本棚登録日 : 2015年9月13日

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