死刑のある国ニッポン

  • 金曜日 (2009年8月4日発売)
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 真っ向から対立する2人の400ページにわたる対論。机上の議論でなく、死刑囚や犯罪被害者への豊富な取材経験もふまえ、いろんな角度で論じている。死刑の是非について、突き詰めて考える材料をふんだんに与えてくれる一冊。

 私は以前から、死刑は廃止すべきだと思っていたが、この本を読んで、その考えはさらに強まった。ただ、正反対の考えに至る人もいるだろうと思う。

 以下、覚え書き。

 死刑制度が犯罪抑止に役立っていないことは、データから明らか/2007年の殺人事件認知件数は戦後最低であり、治安は悪化していない/冤罪によって犠牲になるコストは最低限にすべき。命は戻らない/死刑囚1人あたりの年間経費は500万円弱で、100人なら5億円。決して高すぎないし、お金に換算する問題ではない/「殺すなかれ、殺させるなかれ」(ブッダ)。過去に起きた殺人の命は戻せないが、これからの死刑は止められる/被害者の応報感情だけが死刑の根拠なら、遺族が死刑を望まない場合や天涯孤独で遺族がいない被告の場合はどうなる。唯一の応報刑である死刑は、罪刑法定主義の放棄である。絶対に赦されない罪はあるのか。その罪への対価として死刑はふさわしいのか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2012年5月31日
読了日 : 2012年5月30日
本棚登録日 : 2012年5月30日

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