伸子 (宮本百合子名作ライブラリー)

著者 :
  • 新日本出版社 (1994年11月1日発売)
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本棚登録 : 12
感想 : 2
4

タイトルが女性の名前ほどインパクトのあるものはないと思う。目を引いて手に取った一冊。まさかの舞台は紐育(これでニューヨークと読むのは、以前何かの古い映画のタイトルで経験済み!)で、これも話に引き込まれる要因となった。日本が世界大戦に入っていく前の束の間の平和な時代(少なくとも庶民はそうだろう)に、1人の男性に惹かれるも、不安と疑念、そして愛情から憎しみに変化していく1人の女性の物語。時代を超えて、男女の関係(特に結婚という体制が面倒臭いものに感じてしまう)と、家族の関係(身内ほど仲がこじれると大変なものはない)、そして知人、友人を含む小社会(世間体が人を惑わせる)の中で生きていかなければならない若き主人公の内面が綴られていて最後まで飽きなかった。
こんなにも不器用で歪んだ性格の男性(しかも泣く)に5年間も振り回される伸子の忍耐力がすごいと思うし、時折見せる伸子の毒舌(実際に言った訳ではなく、怒りが爆発して心の中で旦那さんや実の母をどついている。笑)に共感するも悩み続ける伸子のやるせなさに早く読み終わりたい気持ちが募る作品でもあった。
100年くらい前の女性の独立心が影響した婚前契約の内容も面白い。彼女の生活ぶりが返って我儘娘の域を出ないとも取れるので、結局旦那も旦那なら、嫁も嫁だなと思う2人のやりとりは滑稽である。
後で知ったが、作者の自伝的小説ということで旦那のモデルが実在することに驚愕、といってもどこからどこまでが作品のために作られた人物像なのかはわからないので何ともいえないが、モデルにされた元旦那はどのような心境でその後を過ごしたのだろうか。
一言言えるとしたら、「とにかく女性は強い。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年9月18日
読了日 : 2021年9月18日
本棚登録日 : 2021年9月18日

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