広大な自然が広がる浅間山麓・群馬県嬬恋村に、20年来東京から通い続ける詩人。季節毎に綴られた「週末の山小屋生活」が1冊になった。「よぼよぼの老人になっても山小屋で遊びたい」。思いを同じくする仲間とセルフビルドで増築した「遊び空間」には、職業も世代も異なる人々が集い、リリカルなコミューンができていく。
山小屋の名前は「アリス・ジャム」。毎夏、野生のすぐりやブルーベリーのジャムをみんなで手作りする。著者は1947年生まれ。親や過労で体を壊した弟の介護をする年齢にさしかかり、「私にとって、山小屋での遊びがこれまでいかに大事だったかを知った。仕事をしているだけではだめだ。仕事をしながら、どんなふうに遊びの空間を作るのか。私たちは実践の歴史を積み重ねてきたのだ」と語る。焚き火にあたり、風を感じながら、自称「山小屋バー」で仲間と傾ける杯。ベランダで開かれるコンサート。ネパール人の青年が青竹でブランコを築き、樽ランプを作る木工作家が現れる。「若者の周りに優れた大人が自然にいる」山小屋ならではの文化は、職人を目指す少年やハープを奏でる村の少女たちに継がれていく。「雨過天晴」とは、雨の後、最初に現れる空の青のこと。著者の一番好きな色だという。(S)
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書籍
- 感想投稿日 : 2008年8月3日
- 本棚登録日 : 2008年8月3日
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