蟹工船・党生活者 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (1953年6月30日発売)
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蟹工船漁に駆り出された者たちは、「お国のため」と煽動されながら、海上での過酷な労働に従事する。
そこでは当然のように生産性が悪かった者には罰が与えられ、監督に背いた者は殺害される。

労働者がいくら働こうが資本家の富になるだけだ、蟹工船では労働者が働かなくても資本家が困るだけだ、こんなに必死に働かされて馬鹿みたいだ、という発想の転換が芽生えるまで、何十人もの労働者が犠牲になった。


蟹工船は外部から孤立した環境であった。新聞も雑誌も届かないメディアから隔離された場所では、新しい発想が生まれない。新しい世界に触れるまで、自分が洗脳され、扇動されていることに気づかない。

とは言えメディアだって、蟹工船のように、資本家階級の上位の人間に都合の良いように操作されている可能性はある。

今ではSNSが普及して、個人が言論統制無しに情報を発信できる時代になった。国家や資本家による操作が効かない発信の場が出来たことは、冷戦時代からは想像もつかない社会の成長だ。もはや国家や資本家には、民衆の操作は難しい。労働者が搾取される環境があれば、どのような是正が期待できるにせよ、SNSで告発して社会に知らしめることが出来てしまう。

ただし、「大切なのは団結すること」とあるように、団結して行動出来なければ力はない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年12月15日
読了日 : 2019年12月15日
本棚登録日 : 2019年12月15日

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