チョコリエッタ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2009年3月25日発売)
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本棚登録 : 260
感想 : 36
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西加奈子『円卓』のこっこからの、チョコリエッタ。
個性的というか、偏屈で凶暴な何かを心に住まわせている少女の小説を、偶然にも立て続きに読むことになった。

幼時、家族旅行での車で事故を起こし、母を失った知世子。
それから父親との関係もうまくいかない。
事故以来母親代わりを務めてくれた従妹の霧湖とも、愛犬のジュリエッタが死んで以来、うまくいかない。
霧湖は自分のために就職もできなかった。
今、霧湖は結婚を考え始めている。
知世子は成長につれ霧湖からも心が離れつつあるが、いなくなるのも受け入れられない。

知世子の高2の夏、映画研究会の先輩、正岡正宗のバイクで連れまわされ、あちこちで映像を撮ることになる。
二人とも、感受性は鋭いけれど、表現がたどたどしい。
勿論、この二人が恋愛関係になることもない。

文体は明晰。
河原で行きずりの子どもたちとハーモニカを吹く場面や、親戚の淑子と過ごす秋の海辺など、映像的な美しさがある。

もうちょっと知世子に寄り添えたなら、楽しめたのかもしれない。

近日中に、大島さんのトークライブを視聴する機会がありそうだ。
それまでに『渦』を読んでみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年5月23日
読了日 : 2021年5月21日
本棚登録日 : 2021年5月23日

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