生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

3.81
  • (936)
  • (1317)
  • (1231)
  • (141)
  • (38)
本棚登録 : 9775
レビュー : 1231
著者 :
gaacoさん  未設定  読み終わった 

2007年刊の、言わずと知れた大ベストセラー。
それを今になって読むか! と思わないでもないけれど、読んでよかった。

筆者の専門である分子生物学にかかわる話は、この人一流の卓抜な比喩でイメージとしては伝わるのだが、やはり難しい話には違いない。
学問領域としても若い分野だからこそ、なのか、そこに福岡さん自身の研究者としての歩みを重ねて叙述されている。

『二重らせん』で栄光をほしいままにしたワトソンらの陰に隠れてしまったローズ・フランクリンの話は、痛々しい。
ポリメラーゼ連鎖反応という原理を使って、任意の遺伝子を増やす方法を思いついた技師のマリス。
興味深い人たちが次々と出てくる。
そして、シュレーディンガーの問い。
物理学の人だとしか認識していなかったけれど、生物学にとっても重要な人だということを初めて知った。
なるほど、「分子」生物学を開くきっかけになるはずだ。

12章以降は筆者の研究に関わるところ。
細胞膜の中で、外に出されるたんぱく質が小胞体に送り込まれ、ある場所まで運ばれた小胞体は細胞膜と触れ合うと、癒着して内部のものを出す。
こんなメカニズムがあるのか、と驚嘆した。
GP2というたんぱく質を完璧に持たないよう遺伝子操作
したノックアウトマウスの実験は、難しいながらも、それでどうなるの?と、思わず引き込まれた。
その結果わかったことも、考えさせられる。
すべてのタンパク質分子を欠落させるより、部分的な欠落や改変の方が、生命にダメージを与えるのだ、と。
生命は、自分を守るために、驚くべき解決方法を作り出す。
ただただ驚嘆である。

レビュー投稿日
2016年8月26日
読了日
2016年8月26日
本棚登録日
2016年8月26日
2
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)』のレビューをもっとみる

『生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする