漱石の孫娘の手に成るエッセイ。
著者、半藤末利子さんは、漱石の長女、筆子さんと松岡譲の娘とのこと。
漱石の話や、祖母鏡子のことを語った部分も興味深いけれど、私には実母を介護して見送った「母の思い出」の章が心に残る。
介護に疲れて、どうにかして手を抜きたいと思ったこと、もう生い先が長くない母と分かっていても、つらく当たってしまったこと...。
お母さんを大事に思っていないはずはないのに、後悔すると分かっているのに、そういうところに追い詰められていってしまうのだろう。
私はまだ親を介護した経験はないけれど、こうした心境になっていくだろうことは自分のこととして理解できる。
実際、実家の母が祖母(実の母)の晩年に親子喧嘩を結構していたのを目にした。
母の場合は同居もしていなかったから、それほどお世話をしたわけでもなかったけれど。
当時はもうちょっと優しくしてあげればいいのに...と思っていたけれど、実の母子にはそういう業のようなものがあるのかもしれない、と最近は思う。
あと、松岡譲について、その人となりが分かったことはよかった。
わたしも『憂鬱な愛人』を読んでみたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年11月6日
- 読了日 : 2016年11月6日
- 本棚登録日 : 2016年11月6日
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