序盤は柳が出会って、今は駒場の民藝館に収蔵された思い出の品を手に入れるいきさつが描かれる。
蒐集「物語」である面目躍如といった感じで、楽しい。
京都や那覇の古物市のところが特に興味をそそられた。
それにしても、彼はいいものかどうかを見分けるのは一瞬あればよいという。
これがすごい。
無心に見れば難しくない、そうだが…それができないんだよね。
知識は目を曇らせるなんて話は小林秀雄を思い出させる。
世代的に近いと思うけど、そんな感覚が共有されていたのかなあ。
後半は彼の蒐集論。
よい蒐集とは、対象となるものの中に自分の故郷を見いだせるものだそうだ。
自分の分身に出会うような、情愛を感じられるものを集めるべきだと。
これは…審美眼が備わっている人ならではの言葉なのかも。
柳が宗教学を学んだ人だということを、本書で初めて知った。
なるほどなあ、と妙に腑に落ちた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年2月15日
- 読了日 : 2016年2月15日
- 本棚登録日 : 2016年2月15日
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