江戸の備忘録 (文春文庫)

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レビュー : 31
著者 :
gaacoさん  未設定  読み終わった 

江戸の歴史にまつわる短文集。

江戸時代の識字率が高かったという話を無条件に信用すべきでない、という「日本人の識字率」は印象的だった。
たしかに、いわれてみると何をもって「識字」する状態だとみなすかは問題だ。
自分の名前や数字くらい読めたという人は6割を超えても、それが書ける人は約四割と下がり、出納帳がつけられる人となると十五パーセントくらいだとのこと。
当時の他国の状況との比較は具体的にされていなかったけれど、これまで「江戸時代の識字率は高かった」と無条件に信じてきたから、ショッキングな話だった。

江戸時代の左利きの割合はどれくらいか。
天皇、将軍、大名は何時くらいに起きていたのか。
こんな、ちょっとした、しかし調べるのが大変そうな話がたくさん出てきて、楽しい。
(漱石や鏡子夫人の起床時間をめぐる夫婦喧嘩の話も出てくるが…)

この間読んだばかりの、冲方丁「光圀伝」ともかかわる内容もあった。
家康が子どもたちに水練を熱心に仕込んだこと。その結果、尾張の徳川光友、水戸の徳川光圀など、大変な水練の達人が生まれたとのこと。
特に、光友が江戸の人々の前で、八丁堀に飛び込み、立ち泳ぎをしたまま食事して見せたという「昔話」のエピソードには、無性に笑える。

「光圀伝」では水戸藩(佐々介三郎)が作ったとされる「土芥寇讐記」。
当然のことながら、ここでは編者不明。
ああ、よかった。冲方さんのフィクションを信じ込んでしまうところだった。
タイトルだけ知っていた、磯田さんの「殿様の通信簿」は、この本に依るものだそうだ。
今度見かけたら読んでみよう。

レビュー投稿日
2015年8月17日
読了日
2015年8月17日
本棚登録日
2015年8月17日
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