江戸時代の算術家を主人公にした短編小説集。
この間読んだ『天地明察』の渋川春海の頃よりもう少し時代が下る。
短編の配列は、時代順かな?
『天地明察』に一番近いところで、建部賢弘。関孝和の弟子。
そのほか、会田安明、山口和、そして長谷川寛らが出てくる。
一番最初に読んだ算術小説は『算法少女』だったけれど・・・
思えば、児童文学である『算法少女』が、一番数学チックなことに踏み込んでいたかもしれない。
この本も、それほど数学的な知識がなくても読んでいける。
ただ、『天地明察』の春海が、なんともすっきりした人物として描かれていたのに比べ、この小説集に出てくる人物たちは、みんな一癖あるように思える。
というより、負けん気や嫉妬、その他の人間の情念が生々しく描かれている点が、ずいぶん『天地明察』のあっさり明るい小説とは違う。
また、ほとんどの小説が恋愛が絡んでいるのも特徴的なところか。
読後感は、必ずしもさわやかではない。渋さ、深みがあるといってもよいのかもしれない。
どちらがいいかは、好みの分かれるところだろうけれど。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2012年8月27日
- 読了日 : 2012年8月27日
- 本棚登録日 : 2012年8月22日
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