円周率を計算した男 (新人物文庫 な 2-1)

著者 :
  • 新人物往来社 (2009年5月11日発売)
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本棚登録 : 98
感想 : 10
4

江戸時代の算術家を主人公にした短編小説集。
この間読んだ『天地明察』の渋川春海の頃よりもう少し時代が下る。
短編の配列は、時代順かな?
『天地明察』に一番近いところで、建部賢弘。関孝和の弟子。
そのほか、会田安明、山口和、そして長谷川寛らが出てくる。

一番最初に読んだ算術小説は『算法少女』だったけれど・・・
思えば、児童文学である『算法少女』が、一番数学チックなことに踏み込んでいたかもしれない。
この本も、それほど数学的な知識がなくても読んでいける。

ただ、『天地明察』の春海が、なんともすっきりした人物として描かれていたのに比べ、この小説集に出てくる人物たちは、みんな一癖あるように思える。
というより、負けん気や嫉妬、その他の人間の情念が生々しく描かれている点が、ずいぶん『天地明察』のあっさり明るい小説とは違う。
また、ほとんどの小説が恋愛が絡んでいるのも特徴的なところか。
読後感は、必ずしもさわやかではない。渋さ、深みがあるといってもよいのかもしれない。
どちらがいいかは、好みの分かれるところだろうけれど。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年8月27日
読了日 : 2012年8月27日
本棚登録日 : 2012年8月22日

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