幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房 (2015年12月18日発売)
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「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。ーー有名な冒頭の一文で始まる名作サスペンス。新訳版でも冒頭の名句はそのままでした。

妻と喧嘩し家を飛び出した男は、パンプキンのような風変わりな帽子を被った見ず知らずの女とバーで出会う。気晴らしに彼女と食事をし、ショーを観て、酒を飲んで家に帰った彼を待っていたのは妻の遺体と刑事たちだった。彼のアリバイを証明できるのはたった一人、帽子の女だけだったが、その夜いったバー、レストラン、劇場のどこでも彼と一緒にいた女は目撃されていなかった・・・

死刑執行150日前の章からカウントダウンしていくタイムリミット・サスペンスは章が進むごとに緊張感が高まっていく。やっと「幻の女」に繋がる手掛かりを掴んだと思った端から手からするりとこぼれ落ちるように、重要な証言者が死体となって発見される恐怖ともどかしさ。

「第21章 死刑執行日」「第22章 死刑執行時」を読むころにはドキドキは最高潮。そして江戸川乱歩も絶賛したという驚きのラスト。
1942年に刊行されたにもかかわらず、今読んでも決して古びることなく面白い。さすが、ミステリーの古典と呼ばれるだけのことはあります。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年12月20日
読了日 : 2018年12月20日
本棚登録日 : 2018年12月20日

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