戦争の歌 (コレクション日本歌人選 78)

制作 : 松村正直 
  • 笠間書院 (2018年12月14日発売)
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「コレクション日本人歌人選」シリーズの第78巻。
日清・日露戦争の時代から太平洋戦争を詠んだ膨大な近代短歌の中から選ばれた51首の歌。

短歌が好きです。その限られた語数で無限を描き出す世界は、読み手の想像力を掻き立て、自らの大きさ(小ささ)を認識させてくれるから。それは、百の言葉よりも雄弁であり、空白に本質があったりする。

ここに載せられた戦争の歌は、反戦歌ばかりを集めたものではない。積極的に戦争を鼓舞する歌、意図せずして体制に利用された歌、戦地の赴く子供をただ思う母の歌、命を賭けて反戦を訴えた歌など様々な色を帯びている。詠まれた後の戦いの結末を知っているだけに、その一見平和な情景が胸に迫るという歌もある。

「反戦的だから良い歌」「軍国主義的だから悪い歌」という観点ではなく、作者の主義主張や価値観に囚われ過ぎることなく歌としての評価をするという目的で選ばれたさまざまな歌の数々。
それらの歌を冷静に読むことにより、逆にその後ろに立ち上ってくる時代に飲み込まれていく人の姿、愚かさ、弱さ、そしてそれにも負けない強さも見えてくる。

与謝野晶子の「君しにたまふことなかれ」は幾度読んでも心を揺さぶられるが、与謝野鉄幹の日清戦争に向けた歌が、発意高揚の歌であるのが対照的で男と女の戦争に対する思いの違いなのかな~と興味深かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 選書
感想投稿日 : 2019年11月21日
読了日 : 2019年11月21日
本棚登録日 : 2019年11月21日

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