皆さんの本棚でよく見かけるので、借りてみた本。女性の作家だということもエッセイだということも知らずに読んだので、最初は贅沢な祖母姫に違和感を感じての読み進め。途中からドタバタを純粋に楽しみながら読みました。高級ホテルのバトラーはとことん客側の要求に応えるものだと、安宿ばかりの自分達の旅とつい比較してしまう。
作者は監察医もされているようなので、他の作品も読みたくなってくる。
ネットで調べたら【小説丸】で「椹野道流の英国つれづれ」のエッセイが2週に一度公開されていたので、一気に最新の28回まで読んでしまった。この『祖母姫』の前日譚のよう。中々面白いエピソードが書かれている。まだ続いているので読み続ける予定。

2024年4月19日

読書状況 読み終わった [2024年4月19日]

「隠蔽捜査シリーズ」のスピンオフ作品。竜崎署長が異動した後の貝沼副署長からの目線で書かれている。
新署長は誰もが認める絶世の美女で、その上に天然なのか言動が普通の警察官僚と大きく違う。新署長目当てで警視庁含め色んな人達が所長詣に訪れる。そのやり取りが竜崎署長の主人公時代と違ってコメディーになっている。
今回の事件は外国人達の違法取引。戸高の活躍は本編と同じだが、新キャラクターの山田が加わる。この二人だけが新署長に免疫があるのが不思議。事件は重大な局面を迎えるのだが、新署長のキャラクターで深刻にならない。全て計算かと思わせるほどスムーズに解決する。テンポも含め賛否が分かれる展開のスピンオフだった。

2024年4月18日

読書状況 読み終わった [2024年4月18日]
カテゴリ 推理小説

「小説讀物」の直木賞特集で2章まで読んでいたので、やっと最後まで読めた。最初の印象では猟師である熊爪が動物の解体している姿が細かく描写され、凄いなという印象。熊に襲われた猟師を助ける時に眼球を処理するのも、ここまで女性作家が描けるのだと驚く。2頭の熊との闘いもそう。
眼の不自由な陽子との生活は壮絶。他の男の子どもを殺したくなる熊爪。熊との闘いで死を間近に見た熊爪が、最期に見たものは生きることに絶望した自分なのだろうか?
最後の方は、こう言う結末で良かったのだろうかと考えてしまう。少なくとも明るい未来は来ないだろうと思ってしまう。

2024年4月16日

読書状況 読み終わった [2024年4月16日]

徳川綱吉と柳沢吉保という悪政のように言われる組み合わせがベースにあり、今回も徳川綱豊(左近)に対する恨みからの犯行と爽快感が少ない内容。
綱吉の娘が死んだ事から、次期将軍争いに脱落した紀州。紀州の重役が綱豊暗殺のために暗躍する。もう1組は、綱豊に成敗された旗本の家臣。どちらも綱豊に恨みが行くように、綱豊を装って攻撃を仕掛ける卑怯なやり方。悪辣な盗賊として皆殺しし数万両を盗んだものも。
救いは若き徳川吉宗の活躍。紀州内部の犯罪を見事に仕切ってくれた。
歴史を調べると、綱豊が西の丸に入ってからも将軍になるのは15年後のようなので、同じような闘いがこれからも長そう・・

2024年4月14日

読書状況 読み終わった [2024年4月14日]
カテゴリ 時代小説

今回は、上司であるが職位が下の弓削方面本部長とのトラブル。嫉妬、妬み、プライドからの周囲から見れば醜い争い。ぶれない竜崎署長からは大したことが無いかも知れないが、弓削本部長からは大ごと。最後はいつものように圧勝に終わるが、後味は良く無い。
家庭のトラブルは娘の恋愛。恋愛ごとは唐変木な竜崎署長でも素早く解決できたよう。

これで手持ちの隠蔽捜査シリーズは終了。寂しくなってしまう。

2024年4月13日

読書状況 読み終わった [2024年4月13日]
カテゴリ 推理小説

リスク管理を踏まえて早め早めに行動する竜崎署長。今回も事件の兆候を嗅ぎ取り、いち早く対策本部の準備。事件は予想通り署内で発生。管轄外の神奈川に飛び火し、こちらも竜崎署長が対応。
縄張り関係無く、事件の解決だけを求める竜崎署長に皆んなは反発。ここで水戸黄門のように階級と伊丹部長との繋がりで、皆んなはひれ伏す。現場の責任者と対立するが、鮮やかな推理で最後は勝ちを納めてしまう。神奈川県警の本部長も警視総監も脱帽する勧善懲悪のスーパーヒーローに爽快感を覚える。

2024年4月12日

読書状況 読み終わった [2024年4月12日]
カテゴリ 推理小説

徳川吉宗と部下である惣目付の水城聡四郎に対する批判、反発、怨念が一段と酷くなってきたようで、読んでいて爽快感が無い。
全目付の吉宗への訴えもそうだし、元目付の水城への暗殺指示とか。これに尾張の馬鹿殿と馬鹿殿に悪意を吹き込む元伊賀者の藤川など。
味方のはずの水城の師匠も藤川への復讐心に駆られて、尾張中の道場を徹底的に潰して行く。
複数の問題を抱えて、今号も終了。やはりスッキリしない。

2024年4月12日

読書状況 読み終わった [2024年4月12日]
カテゴリ 時代小説

今回も快刀乱麻の働き。厚労省の麻取や公安部、警視庁の交通部、外務省と色々な部署を相手に原理原則で押し切って行く。本人の意向を無視して隣の署の捜査本部長迄2つもやらされてしまう。最後は敵対者含めて、みんな呆れるか本来の業務を思い出すのか従ってしまう。あっという間に事件を解決するので爽快感に包まれてしまう。

2024年4月11日

読書状況 読み終わった [2024年4月11日]
カテゴリ 推理小説

スピンオフの9つの短編集。
親友と言っている伊丹部長側からの内容が多い。
気が小さいながら、外部に対しては格好良く振る舞う伊丹部長。警視庁の刑事部長に異動するが、その前後で困難な状況に陥る。困った時の竜崎頼み。アドバイスを受けるだけで解決に導いてくれる。魔法のような言葉に何度も助けられる伊丹部長。
逆に、3件の不祥事が続いて助けようとした伊丹部長だが、竜崎署長は泰然として受け止める。二人の対比が面白い。

2024年4月11日

読書状況 読み終わった [2024年4月11日]
カテゴリ 推理小説

娘の恋愛について理知的に答え、妻からも伊丹からも唐変木と言われるほどの竜崎署長。何を血迷ったか部下に恋愛感情を持ち仕事が手に付かない。見ているのが可哀想になる。終盤迄こんな腑抜けな竜崎を見たくなかった。
解決はまたしても不良刑事。最後は立ち直って、いつもの竜崎署長に戻って安心する。
この後に続く「初陣 3.5」で、恋愛相手を送られた経緯が書かれていた・・

2024年4月11日

読書状況 読み終わった [2024年4月11日]
カテゴリ 推理小説

5月号
特集 今野敏の世界『夏空 東京湾臨海署安積班』刊行記念インタビュー
特集 櫻部由美子の世界『そなたの母 出直し神社たね銭貸し 』刊行記念シリーズ紹介
連載 今野敏 天狼 東京湾臨海署 安積班 第五回
新連載 あさのあつこ えにし屋春秋(三) 第一回
連載 井上荒野 キャベツ炒めに捧ぐ リターンズ 第七回
連載 藤野千夜 団地メシ!  第二回
連載 砂原浩太朗 浅草寺子屋よろず暦 第五回
連載 河村季里 旅と食卓 カシーカーニュ・シュル・メール 第七回
連載 森沢明夫 さやかの夕凪 第八回
連載 山口恵以子 食堂のおばちゃん16 第三回
連載 末國善己 ニューエンタメ書評 第百四十九回
連載 柴田よしき あらたな日々 お勝手のあん 第二回

今回の特集の今野敏さんは、現在読んでいる『隠蔽捜査シリーズ』の竜崎署長のキャラクターがぶっ飛んでいて面白いが、今回の臨海署シリーズでの安積係長のキャラクターが、こんなに読んでいても今一つ掴み切れていない。竜崎署長が凄すぎるのかも知れない。
もう一つの櫻部さんは読んだことのない作者。五作目だそうだが一作目からの紹介があり、機会があったら読みたくなってくる。

2024年4月11日

読書状況 読み終わった [2024年4月11日]
カテゴリ 小説

スピンオフの短編集。9篇あるので一つ一つは短く、あっという間に終わる。
神奈川県警に在籍しているが、この本では前後していて大森署長時代も出てくる。
「内助」ではTVを見ていた竜崎の妻が既視感から、独自に調べて殺人事件を解決する。妻と竜崎とのやり取りが面白い。妻が解決したことを署員達が信じないことが更に面白くする。
「荷物」では息子が預かった荷物が覚醒剤の疑い。また、これにより左遷かと考えてしまうが、竜崎所長はブレずに鑑識を家に呼ぶ。本当に原理原則が徹底している。
他の短編でも、既に神奈川県警に異動しているのに、大森署の元部下達は迷うと竜崎元署長を頼ってしまう。一刀両断にアドバイスして解決してしまう。明解すぎるほど明快。読んでいてスッキリする。

2024年4月11日

読書状況 読み終わった [2024年4月11日]
カテゴリ 推理小説

読む速度が加速する。テンポ良く展開して行く。
今回は人質立て籠り事件。SATやSITが出てきて突入を待つ緊迫した状況。メンツに関係無く専門家に任せようとする竜崎署長。突入時の責任も自ら責任を取るべく対応する。責任を問われても毅然と対応する。こういう方がいる組織は強いと羨ましくなる。事件は意外な展開となり、逆転する。これも竜崎署長のおかげ。
もう一つの家族問題は、妻の入院。家庭を任せきりにしていたツケが出て、家では何も出来ない竜崎署長。完璧に自信を持って行う警察業務との対比が面白い。

2024年4月10日

読書状況 読み終わった [2024年4月10日]
カテゴリ 推理小説

7から読み始めて面白かったので、最初から読もうとシリーズを集めました。
最初から読むと、周囲が言うように「変人」というしか無い。強烈なエリート意識、常に相手をキャリアかノンキャリアで見る。長男にも東大に行くことを求めて、私大を辞めさせて浪人させる。娘には政略結婚を勧める。それでいて家庭のことは妻任せ。これだけだと嫌な人になってしまうが、行動は原理原則通り。ブレが無い。自分が間違っていると分かれば躊躇なく修正する。それが明確なので読んでいてスッキリする。
この本でも迷いは確かに有ったが、最後は正しい方向に邁進している。降格人事となってしまったが、次の大森署長での舞台が楽しみになる。

2024年4月9日

読書状況 読み終わった [2024年4月9日]
カテゴリ 推理小説

出奔した妹の子供の面倒を見る独身の31才の椿。この子供の朔は発達障害のようでも有り、キチンとしたことができず、人の輪にも入れない。小学校に入学式してからも一層大変になる。母親は亡くなり、父は病がち。普通の感覚では全ての事にブチ切れてしまいそうになるが、椿は冷静に淡々と進めて行く。知り合いの家族を見て、なおさら子供を比較しないように気を付けている。少しずつ朔の成長を見守る椿が素晴らしい。
親に可愛がられていた妹に嫉妬していたが、妹からは逆の意見。本音をもっと早くからぶつけ合ったら、妹との和解も早く出来たのではと思ってしまう。希望が仄かに見えて来た結末に安心する。

2024年4月8日

読書状況 読み終わった [2024年4月8日]

家族のトラブルは今回は息子。前作と同様に並行して流れて行く。ポーランドで息子がどうなるのか、やはり心配してしまう。使えるものは何でも使う竜崎刑事部長の本領発揮。外務省の知人もフル活用。
本編でも犯人が米軍基地に逃げ込んだ恐れがあると聞き、皆んなの反対を押し切って米軍に協力依頼をする。犯人を追って千葉県警、警視庁、挙句の果てには政治家まで協力を依頼する。普通の警察や公務員がしないことを、合理的な判断で突き進む。それが読んでいて爽快感に繋がる。

2024年4月7日

読書状況 読み終わった [2024年4月7日]
カテゴリ 推理小説

寺地さんは2冊目だが、最初に読んだ『水を縫う』の設定と非常に近い。前作が祖母と姉弟と離婚した母、今回の作品は祖父と兄妹と別居した母。このような家族構成が好きなのだろうか?
発達障害らしき兄は周囲と上手く行かないが、家族からは大事にされ、それが妹にとっては耐えられない反発心となっている。祖父がやっていたガラス工房を小さい頃から出入りしていた二人は、祖父が亡くなったことで伯父に処分されそうになった工房を勢いで継ぐ事になってしまった。反発しながらも工房を立ち上げた二人はすれ違いの日々。
才能ある兄に嫉妬する妹。両者の気持ちが痛いほど伝わってくる。徐々に歩み寄る妹と兄。優しい気持ちになれる本だった。

2024年4月6日

読書状況 読み終わった [2024年4月6日]

ずっと読み続けている『池袋ウェストゲートパーク』と近い、若者達の生態を瑞々しく描いた小説。
主人公達は14歳の中学生4人。早老病と言う難病が冒頭に出てきて面食らうが、他にも拒食症の同級生、酒依存症の父親の死なども出てくる。中学生達の性や異性への目覚めが懐かしくも気恥ずかしくも感じる。エロ本収集、ストリップ小屋への潜入など···
過剰な性表現や歳上女性との不倫関係、父親殺しなども有り、これで直木賞を受賞できたことに驚く。

2024年4月5日

読書状況 読み終わった [2024年4月5日]
カテゴリ 小説

読んだのは前作に続いて2冊目。前作で感じた主人公の竜崎の面白さが続いている。
大森署長から神奈川県の刑事部長に就任。最初の就任から他の人と違って突然に現れ、アポも取らずに上司の本部長に会う。周囲からは呆れられてしまうが、ここが他の人と違うところ。常に合理性を求めてしまう。
殺人事件が起きて警視庁と合同本部を設けるが、自分が不必要と思うことも、部下からの進言で簡単に意見を変えてしまう。
今回は妻の交通事故にも対応するが、相手は警察の大先輩。揉めた大先輩と大胆な方法で和解。
事件は中国の政治問題も絡むが、淡々と必要な手を打って行く。不可能と思われた逮捕も周囲や犯人の意識を変えてしまう。本人が思う以上に竜崎ファンを作って行くのが爽快に感じる。次の作品も楽しみ。

2024年4月4日

読書状況 読み終わった [2024年4月4日]
カテゴリ 推理小説

近所のコミュニティハウスで7巻以降を置いていたので借りてみたが、非常に面白かった。ネットで検索して、最初からの粗筋をざっと読んでしまった。
警察物にしては珍しく管理者側からの視点となる。主人公の竜崎署長は身内の問題で左遷されているキャリア。これがキャリアらしく無く、おかしいと思ったトラブルには管轄外や上司からの中止命令にも従わず邁進して行く。そして現場の指揮にも徹夜で取り組む。批判していた部下や上司達も最後は竜崎署長に感謝する。竜崎署長は常に自問自答を繰り返し、方向修正している。このような人が上司や世の中にいて欲しいと強く思わせる内容だった。

2024年4月3日

読書状況 読み終わった [2024年4月3日]
カテゴリ 推理小説

宮部さんの登録を数えたら49冊目。この本は古い本のせいなのか、中学1年生達の事件簿なのか、読み終わるまで2ケ月以上も掛かってしまった。
本の体裁は左下にパラパラ漫画が載るという不思議な本。4パターン程あるが、特に感慨は・・。
サッカー部の主人公の緒方と将棋部の島崎は親友同士。緒方が好意を寄せるクドウさんが事件に巻き込まれる。事件を解決に導こうと二人は深みに嵌って行く。その過程で緒方とクドウは交際することになる。
甘い青春の思い出となるような小説なのだが、結末に待ち受けるのは残酷な事実。甘い気持ちが一気に苦くさせられてしまった。やはり宮部さんの描くものはすんなり行かない。

2024年4月2日

読書状況 読み終わった [2024年4月2日]
カテゴリ 推理小説

ブクログの皆さんの本棚で良く見かける寺地さんを初読みです。
高校に入学した刺繍好きの男子である清澄と、ある事情で可愛いものがダメになった姉の水青が中心だが、祖母も母親もそれなりに個性が強い。それにお金の管理が出来ずに離婚された父親と、その父親を見守る親友の6人が、それぞれの章で主役となる構成。各自の個性が良く分かる。
他人と一定の距離を保とうとする水青が結婚するのも不思議だが、結婚式も開きたく無いほどの水青のウェディングドレスを作ろうとする清澄。
可愛いさを嫌う水青のドレスに可愛さを足してしまう清澄。困った時に頼るのが父親の親友である黒田さん。そして父親の登場。
文章は淡々としているのだが、内容が非常に濃く、あっという間に最後まで読んでしまった。6人の関係と結末に感動してしまった。

2024年3月31日

読書状況 読み終わった [2024年3月31日]
カテゴリ 小説

強烈な津軽弁と生活苦の内容が暗すぎて、前半は中々読み進めが出来なかったが、柳宗悦先生達に認められて上向いてからは一気に読めて行った。
棟方志功の妻チヤの視点からの物語だが、棟方志功の版画に掛ける情熱が迸り、チヤが霞むほど。
序章と終章のみ昭和62年だが、本編は戦中の昭和20年で終わっている。戦後に世界で認められた棟方志功をもっと読んで見たかった。

2024年3月29日

読書状況 読み終わった [2024年3月29日]
カテゴリ 小説

孫娘の扉子が主役だった新シリーズだが、今回は祖母含めて3世代の17才時の同じ秘密が解き明かされて行く。
プロローグで3世代の家族が勢揃い。次の章から令和、昭和、平成と展開して行く。戦後の混乱期に鎌倉に居た著名文士達が拠出して出来た「鎌倉文庫」の千冊に及ぶ本の行方。
昭和の時代の祖母智恵子はビブリア古書堂に通う女子高生。店先で鎌倉文庫の情報に接し、のめり込んで行く。この時に店の息子と知り合って、後に結婚。ダークモード発動で、強引に解決に結び付けたのだが、ここでお互いに惹かれあって結婚するのが不思議。
平成の時代の娘である栞子も鎌倉文庫に関わって行く。持ち前の洞察力と推理力で解決して行くのが凄い。2代と3代は本以外は駄目なキャラがホッとさせる。

2024年3月27日

読書状況 読み終わった [2024年3月27日]
カテゴリ 推理小説
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