「謎」の進学校 麻布の教え (集英社新書)

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著者 :
zhangtanさん その他   読み終わった 

日本屈指の進学校、麻布高校のルポルタージュなんですが、一読して「ここの生徒はすごい」というのと「ここの生徒は大丈夫なのか?」という相反する感想が混在する不思議な感覚になりました。著者は本の帯にもあるように「この学校、何かが「変」だ」と書いていますが、私と同じような感覚なのか、この手の本にありがちな「マイナスなように見えて実はこれはすごいんだ」的なものではなく、批判するところはしっかりと批判しています。ただ、このような毀誉褒貶相半ばする本の出版を認めた麻布の先生方には脱帽します。
まず何がためかというと、教室を片付けないためごみが散乱しているところ、時間にルーズ、人が前に立っても着席をしてその人を向かないところなど。これを駄目だと思うのは私の頭が古いから、堅いからではないと思います。基本的な社会のルールはきちんと学ばせるべきでしょう。
一方でやっぱり彼らの力はすごいと素直に感心します。文化祭などの企画・実行力、いったん火がついたときの集中力、知的関心の高さetc・・・
例えば社会科に限っていえば、中学生は3年生でグループによる卒論、高一での「社会科基礎過程修了論文」通称「修論」はタイトルを聞いただけで、本当に高一で完成させたのかと半信半疑になるくらい重厚なタイトルが並びます。本書で紹介しているのは
「アメリカの宗教右派とG・W・ブッシュ政権との関係性」
「現代日本におけるトランスジェンダー」
「東ドイツ国民から見た東西ドイツ統一と東ドイツ」
「刑法39条は必要か~精神障害者をどう裁いていくのか~」
(まあ、ブッシュ政権の時はブッシュとネオコンやキリスト教右派との関係はかなり取り上げられていましたが・・・)こういうことに興味・関心を抱き、また一つの形にまとめることが出来る能力には脱帽せざるを得ません。
それにしても、おそらく私はこの学校に勤めることはできないでしょう(立場や能力ではなく、教育観の問題で)。今の学校では私はおそらく生徒に認めている自由の幅は他の先生方より広いだろうと思います。それは私の教育観(というほど大げさなものではないのですが)、人として、生徒として基本的なことをきちんと踏まえているのならば、あとはいろいろと自由にさせて失敗を経験させようというものだからです。けどこの「人として、生徒として基本的なこと」にはもちろん“ごみは捨てない”“時間を守る”“人の話をきちんと聞く”などは含まれています。これを(生徒ができるできないではなく教壇に立つ側として)出来ないことを許容する学校は私には耐えられません。多くの進学実績があり、また多くの優秀な人材を輩出している学校で、高い社会的地位ではなく人間的にも素晴らしい人も多く卒業しているであろう麻布高校を私が批判することは出来ませんが、合う合わないくらい言う自由があるのならば、やっぱり私には合いません。ただ、とにもかくにも一度この目でどういう生徒たちが通っているのか、どういう授業が展開されているのかなどは見たい気がしています。そういう機会が訪れれば良いのですが・・・

レビュー投稿日
2014年11月15日
読了日
2014年11月15日
本棚登録日
2014年11月15日
3
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