消えた少女のために全てを捨ててアメリカ中を訪ね歩くというストーリーは、警察小説というよりハードボイルドに近い。ただ、なぜそこまでして捜索を続けるのかという取っ掛かり部分の心理描写が弱かったのか、あれよあれよという間に進んで若干混乱する序盤ではあった。
手掛かりを追って辿り着いた先はニューヨーク。この大都市に入ってから物語は大きく動き出す。華やかな世界に生きる人間の表の顔と裏の顔。ウィンズロウの「怒り」が主人公を通して伝わってくるシーンは読み応えあり。さらりと読み手の心に響かせる手腕って相変わらず巧いよね。そして、残酷で冷静な決着のつけ方も好き。ラスト一行の余韻が心地良い。
東江さんの訳はもう読めないけど、違和感なくフツーに面白かったです。感謝。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外ミステリ
- 感想投稿日 : 2016年2月9日
- 読了日 : 2016年2月5日
- 本棚登録日 : 2016年2月5日
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