村上龍映画小説集

著者 :
  • 講談社
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感想 : 19
5

良い本というものは、2度、3度読んでしまうものである。僕はこの本を読むのが3回目である。つまり、この本は良い本ってことだ。

はじめてこの本を読んだのは高校生の時だったろうか。そのときは、自分がしている「ままごとのようなセックス」と本書で登場人物がするうような「動物的なセックス」の差に驚いた。他にも、麻薬やヘロインなどがたくさん出てきて、とても刺激的だったことを覚えている。


次に読んだのは20歳のときだ。その時も、やっぱり刺激的だなと思って、本書に出てくるヤザキのように、福生まで出かけて行った。もちろん、1970年代と現在の横田は趣がまったく違っており、何もなかったけれど。しかし、横田のファントムの音を聞くだけで不思議と幸せになれた。

そして、今、僕はこの本を3回目として、読んだ。

結局のところ、何もかも失われてしまったのだ。青春は2度と戻ってこない。これがこの本から今回受けたメッセージだ。

もちろん、初めて読んだ時と、就職を控えた現在では、まったく読後感が違う。

初めて読んだ時は、オキナワがバーのパトロンに対して、就職を求めたシーンなどでは正直いって軽蔑したが、今ではとてもじゃないけどそんなことはできない。むしろ、感情移入すらしてしまいそうだ。そして、「自分はなんとか就職決まってよかったな」と安堵したし、彼らがヒッピーぶりながらも、そういった態度をとったことが痛いほどわかった。

つまり、そういった年代のそういった気持がわかる年齢になったのだ。おそらく、大学3年生と4年生にはわかるのではないだろうか。



人生を生きるたびに読後感が変わるこの本は、本当に素晴らしい。もしかしたら、4回目もあるかもしれない。その時は、どういった輝きを本書は見せてくれるのであろうか。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2008年12月29日
本棚登録日 : 2008年12月29日

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