朝吹氏の、ことばに対する誠意のようなものがうかがえる作品だと感じた。
デビュー作には作家の全てが詰まっている、という話はよくある。『きことわ』で朝吹氏を知り、その後『流跡』を読んだ私は、まさにその通りだと思った。
個人的には、『きことわ』よりもことばの流れが朴訥としていて好感が持てる。
ただ、小説としての物語内容までもがどこかへ流れていってしまうのではないだろうか、と感じさせられる危うさもある。常に動き続け、小説の枠外へはみ出てしまいたいと願う物語世界がそこにある。
置き去りにされた枠組みと、枠組みから流れ去った世界。その生々しい流跡が確かに感じられる作品だと思った。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2013年11月5日
- 読了日 : 2013年11月5日
- 本棚登録日 : 2013年11月5日
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