全てがゼロ、だから成功する―地図王への道

著者 :
  • 講談社 (2005年4月12日発売)
3.00
  • (1)
  • (0)
  • (6)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 14
感想 : 2
3

著者は、地図出版では日本一の「昭文社」を一代で創りあげた立志伝中の人。
自らの破天荒な半生を語ります。文化庁の調査では、「破天荒」の意味を取り違へてゐる人が多いさうでありますが、ここではまさに本来の意味で使用してゐると考へてください。
「おしん」さながらの丁稚奉公に始まり、一攫千金を夢みて地図のセールスマンに転身、そこでアメリカ大使館との取引を得る幸運に恵まれます。
この取引が破格の条件であつたために、昭文社を設立出来るだけの資金を得たのであります

この人のモットーらしきものは、とにかく即断即決即実行と言つたところでせうか。
何しろ判断に3秒以上かけるのは無駄、といふ思想の持ち主であります。
自らの直感を信じてここまで会社を大きくしたのだから説得力はあるものの、凡百の経営者の参考になるかといふと疑問であります。(実際、失敗もあつたやうです。)
特に130億円を投資してサイマップ(昭文社統合地図情報システム)の構築を目指した時は、会計士、役員たちは猛反対であつたといふ。さもありなん。
しかし結果的にこのシステムは、昭文社に大きな益をもたらしたのであります。

昭文社の地図といへば、お世話になつた(なつてゐる)人も多いでせう。
年配の人にとつては「エアリアマップ」の方が通りが良いかもしれません。
私も「ニューエスト」(県別の都市地図帳)は全県揃へましたよ。
鳥取県・島根県がなかなか出なくて、いらいらしましたが、最終的に揃へることが出来た。
ところがその時点では、県別地図の主力は「県別マップル」に移つてゐましたので、これまた全冊揃へた...と言ひたいところですが、結局北海道が出版されなくて残念でした。
当時は書店に勤めてゐたので、昭文社の営業の人に「早く北海道を出してよ」と要望したのですが、営業氏が言ふには、北海道の県別マップルを出さうとすると、何ページも同じ道路が細々と続く地図帳になつてしまふから、今後も出ないだらうとの返事でした。なるほど。
まあスーパーマップルの北海道があるから、全然困らないのですがね。

...おつと、自分の事を語つてしまひました。失礼。
何しろ地図は大好きなので。本書でも言及があつた「アルプス社」との比較など、いろいろ語りたいのですが、また今後の機会に譲ることにしませう。ま、誰も興味ないでせうが。
では、ご無礼いたします。

http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-53.html

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2011年12月3日
読了日 : 2009年9月16日
本棚登録日 : 2011年12月3日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする