事件 (新潮文庫)

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本棚登録 : 240
レビュー : 29
著者 :
源氏川苦心さん 日本の作家   読み終わった 

朝日新聞に連載中は、『若草物語』といふタイトルだつたさうです。当初は青春小説の心算だつたらしい(ただし若者の犯罪を通して青春の無軌道さを描く心算だつた)。完成作品とは似ても似つかぬタイトルですな。
それが執筆を続けるうちに、裁判小説となり、表題も『事件』と改題されました。

19歳の若者・上田宏くんは、神奈川県の田舎町に住む好青年。そののどかな町で、坂井ハツ子なる女性が殺害された。この女性は、実は上田くんが同棲してゐる坂井ヨシ子の姉でありました。で、いろいろあつて証拠が揃つたとして、上田くんは殺人と遺体遺棄の容疑で逮捕されます。未成年といふことで少年法の規定により、家裁へ送られ、さらに横浜地方検察庁に送致されたのでした。
その後は裁判所が主たる舞台で、裁判小説の様相を呈してきます。記憶が飛んでゐるといふ上田くんは果たして冤罪なのか?

青春小説から裁判小説へと変貌した理由について、著者の大岡昇平氏は、あとがきの中で「日本の裁判の実情があまりにも、裁判小説や裁判批判に書かれているものと異なっているのに驚き、その実情を伝えたいと思うようになった」と述べてゐます。
日本の裁判制度にメスを入れ、推理小説としての体裁も整つた、読み応へのある長篇小説であります。

http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-784.html

レビュー投稿日
2019年3月21日
読了日
2019年3月21日
本棚登録日
2019年3月21日
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