一週間ほど前に読了。
ファンタジー好きとしては、帯の「『高慢と偏見』×ドラゴン」の文字が気になり手に取る。
読後第一の感想は、まさに! だった。
訳者あとがきに
「著者の執筆のきっかけとなったのは、『ヒックとドラゴン』を観ながら『高慢と偏見』の本を読み返そうとしたことだったという。途中でいきなり〝ドラゴンを駆るミスター・ダーシー〟のイメージが浮かび、 ―後略―」(p446)
とあるので、著者の意図が見事に表現されているのだろう。
ドラゴンをはじめ、ファンタジー小説ではお馴染みの、グリフォンやワイヴァーン(飛竜)、ホブゴブリンが登場する世界。
「ナクラ」などこの世界観独特の身分制度? やヒーローの周囲の人間関係など、やや唐突に登場し、説明のないまま雰囲気で読んでしまったところもあるので、翻訳ファンタジーに慣れていない方には若干読みづらい部分もあるのではないだろうか。
出会ったときは高慢ちきだと思っていた(この表現もいかにもな表現である笑)龍の騎手(ドラゴンライダー)の青年への思いが、主人公の中でどのように変わるかが丁寧に描かれる。
第一印象は大事だが、偏見とはいけないものだ。
青年のなんとももどかしい告白も個人的にはツボである。
恋の行方が気になり、読書中は二人の場面を心待にしてしまった。
ヒロインの地方荘園の事務官の次女が勇敢に戦う場面があるところは、『高慢と偏見』と異なる、ファンタジーならではかもしれない。
ヒロイックファンタジーでもあるのだ。
本国では、2018年秋に同じ世界を舞台にした新作が出版されることも決まっているとか。
今作の登場人物たちは絡んでくるのか?
翻訳されたらぜひとも読んでみたい。
- 感想投稿日 : 2018年7月24日
- 読了日 : 2018年7月24日
- 本棚登録日 : 2018年7月24日
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