親指Pの修業時代 下 (河出文庫)

著者 :
  • 河出書房新社
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本棚登録 : 330
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309407937

作品紹介・あらすじ

新しい恋人、春志と、性的に特殊な事情を持つ人々が集まる見せ物一座"フラワー・ショー"に参加した一実。だが、一実自身は同性である映子に惹かれてゆき、そして-果して親指Pを待ち受ける運命は?性の常識を覆し、文学とセクシャリティの関係を変えた決定的名作が待望の新装版に。

感想・レビュー・書評

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  • 新恋人 春志と、性的に特殊な事情を持つ人々が集まる見せ物一座「フラワー・ショー」に参加した一実。

    だが、一実自身は同性である映子に惹かれていき、、、そして―果して親指Pを待ち受ける運命は・・・!?

    性の目覚め、しばらくはPの可能性や快楽を追求するのは親指Pに限らず、、、かもしれません。もう、動物か!ってくらいそのことしか考えられないギラついた時期を抜けると、肉欲を切り離したところにある本当の気持ちに気づくとか。

    「性の常識を覆し、文学とセクシャリティの関係を変えた」と唱われていますが、下巻はペースダウンというか。

    目覚めたら大きな毒虫に変化していたグレゴール・ザムザに比べれば、足の親指の一本程度、靴下や靴でなんなく誤魔化せますが、されど形状はP。一般男性は生まれつきあの奇っ怪な持ち物を所有している。あのようなものが自分についていたならば、、、、持てあますかな。

    そもそも何故今頃これを書いているかと言えば、「据え膳食わぬは男の恥」論について考え込んでいるからです。「据え膳食った結果、悪者扱いされた」男性は本当に悪い奴なのかどうか。悪いのはPと、Pの弱みにつけ込もうとする女豹系女子ではないのかね。むむー。

  • 男と女の感覚の違いだろうか、表現がとても濃厚で読んでいてだんだんぐったりとしてしまった。こんな話どうやって映画化するのだろうか。

  • 女性にペニスが生えたとして、そうなった時の想像力に凄いものを感じた。

  •  読み終わって、まさにこの物語は「親指Pの修行時代」を描いていたのだなと思った。凝り固まった男性・女性の身体性への先入観や性愛観を無意識のうちに持ってしまっていることに気付かされたけれど、どちらもとても個人的かつ個性的なことなんだから通念に縛られる必要はない。そのようなことを、全く押しつけがましくなく示してくれた作品だった。

  • 江戸川乱歩や筒井康隆を彷彿とさせる内容。
    LGBTって言葉が無い頃に書かれた話としては非常に先進的だったんだろうと思います。勿論親指Pという発想事態は現代においても先進的だと思いますが。。。
    エピローグの最後の一行が秀逸です。

  • 親友を亡くした女性の右足の親指がある日突然ペニスになってしまう物語の下巻。

    セックス見世物一座の巡業に同行することとなった主人公と恋人である盲目の音楽家。しかし、心身ともに相性がいいと思われた恋人との破局が突然訪れます。途方にくれる彼女に気のいい仲間たちが声をかけてくれ、次第に癒されていきますが…。

    同性愛、四角関係、性に何らかの奇形があるために心に傷を抱える人々、そしてクライマックスともなる女性をさげすむ極度の男根主義者の脚本家が主催する劇団…。

    主人公は「ふつうの」セックスと思い込んでいたものが、社会や環境に刷り込まれた先入観であったことに気づき、自分の願望をはっきりもつようになります。四角関係に陥っても、「どちらも好き」という態度を崩さない彼女に、優柔不断よりも強い意志が感じられ、とてもたくましく好感がもてました(読んでいてハラハラしましたが(笑))。彼女に釣られるように成長していく周囲の人々も応援したくなります。

    あらゆる影響を排除して自分自身に立ち返っていく過程を「修業」と題しているのが興味深いです。とくに現代のような情報化社会では、無意識にいろんな先入観に毒されやすいので、私たちがこの本に共感するところも多いと思います。

    自分らしく生きる勇気を与えてくれる感動的な物語でした。

  • 一実を通して模範的な恋愛や性愛から逸脱することを学んで春志を通して社会に受容される価値観も要ることを知った。行儀が良過ぎる感想だろうか。異性間で性器を結び付ければ正解というわけでないのだろう。肌と肌を触れ合わせるだけで快く感じること。それならば異性でなくても恋人でなくても良いのかも知れない。少し人恋しくなるような小説だった。

  • 昔読んだ本

  • やっぱり最後まで合わなかった…、「だったらなんだ?」感が主人公の行動に常につきまとって、結局彼女やフラワーショーメンバーのやることなすこと全部気に入らず。ただこれは個人の受け取り方次第なので、面白くないというわけでは決してないと思う!どうして本作が90年代最高峰とまで呼ばれるのか、自分の課題としてもう一度考え直そう。

  • 読み終えてなんというかスゴイお話です。

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著者プロフィール

1958年生まれ。78年「葬儀の日」で文學界新人賞を受賞しデビュー。著書に『親指Pの修業時代』(女流文学賞)、『犬身』(読売文学賞)、『奇貨』『最愛の子ども』(泉鏡花文学賞)など。

「2022年 『たけくらべ 現代語訳・樋口一葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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