大津波と原発

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本棚登録 : 311
レビュー : 52
前原政之さん 東日本大震災関連   読み終わった 

 東日本大震災から3週間後の4月5日に、ユーストリーム配信の番組「ラジオデイズ」のために行われた鼎談をまとめたもの。
 120ページ足らずの薄い本で、小冊子に近い。ボリューム面での物足りなさはあるのだが、内容は刺激的である。

 顔ぶれを見ればわかるとおり、本書の眼目は大震災をめぐる時事的解説にはない。むしろ、その深層にある思想的意味について考えてみよう、という試みなのだ。

 3人のうち、最も示唆に富む発言をくり返しているのが中沢氏で、本書の主役という感じ。
 言いかえれば、東日本大震災の思想的意味とは、人類史的スケールで、しかも宗教的側面からも測られるべきものだということだろう。ゆえに、宗教学者・人類学者・思想家である中沢氏の言葉が、いまこそ生彩を放つのだ。

 本書の圧巻は、「原子力と『神』」というチャプター。
 そこで中沢氏は、原子力という人類にとっての「第七次エネルギー革命」が、「生態圏の完全に外にあるエネルギー源を取りだそうとした」ものであり、「地球生態圏の中に生きていた生き物の体の変成したもの」である石油・石炭などとは次元の異なる意味をもっていたと指摘する。
 「原子力は一神教的技術」であり、日本の多神教文化にはもともとそぐわないものだったのだ、と……(そんなふうに断片的に紹介しても、未読の人には意味不明だろうが)。

 この鼎談をベースに、中沢氏に東日本大震災の思想的意味を深く掘り下げた大著をものしてもらいたい。

レビュー投稿日
2018年11月2日
読了日
2011年8月31日
本棚登録日
2018年11月2日
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