風花 (講談社文庫)

3.12
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本棚登録 : 77
レビュー : 13
著者 :
前原政之さん 日本の小説   読み終わった 

 先日観た映画版『風花』がよかったので、原作を読んでみた。

 話の骨子だけが映画と同じで、あとはまったく別物。とくに、主人公2人のダイアローグについては、原作のセリフはまったくといってよいほど映画に使われていない。

 それもそのはずで、この原作のセリフはいちいちクサイったらない。紋切り型の見本市みたいなありさまである。たとえば――。
 
《「どこで間違ったんだろうな」廉司は天井を見上げてつぶやいた。「末は博士か大臣か、とまでは言わないけど、それなりの人間になるはずだったんだけどね」》

《「子はかすがいっていうから、子どもがいれば、離婚しなかったかもしれないな」》

《「お互い人生の転機ってやつですな」》

 こういう手垢にまみれた言葉が全編てんこもりなのである。
 展開もダラダラしていてテンポが悪い。もっと刈り込んで短編にしてもよいくらい。

 いい場面もあるので、駄作とまでは言わない。とくによいのは、主人公2人が出会って北海道に旅立つまでの序盤と、余韻を残したラストシーン。
 困ったことに、肝心の旅の中味部分(全編の8割くらいを占める)がいちばん退屈。

 映画のほうがはるかによい。

レビュー投稿日
2019年4月26日
読了日
2008年11月28日
本棚登録日
2019年4月26日
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