まことに残念ですが…―不朽の名作への「不採用通知」160選 (徳間文庫)

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やや古い本だが、「読書猿」氏がブログで紹介していたのを見て読んでみた。

欧米の古今の名作(小説、詩集など)が刊行される前、出版社の編集者から作者に送られた「不採用通知」の一節を集めたもの。

もっとも、取り上げられた作品の中にはあまり知られていないものも多い。が、『大地』『白鯨』『アンネの日記』など、名作が数多く含まれているのはたしか。

「あの名作でさえ、最初は編集者に価値を認められなかったのだから……」と、いまだ世に出ぬ作家の卵たちは大いに勇気づけられるに違いない。

また、不採用通知の合間に、名作の不採用をめぐる面白いエピソードも集められている。そのうちのいくつかを紹介してみよう。

バーナード・ショーが初めて書いた作品は、多くの出版社から断られつづけた。活字になったのは書いてから50年後――「出版社がわたしの名前が書いてあればどんなものでも出版するようになってから」だった。

『ギネスブック』によれば、出版社に刊行を拒否された回数が最も多いのはスティーヴ・カントンの『ダスティ・ロード』という作品。その記録は、じつに314回(!)。

ウィリアム・サローヤンが初めて原稿採用の通知をもらったとき、それまでにもらった不採用通知は高さ1メートルもの山になっていた。数にして、おそらく7000通以上。

ジェイムズ・ジョイスの『ダブリン市民』は、刊行までに22の出版社に断られた。ジョイスが22歳のときに書いた同作が刊行されたのは10年後のことだった。

世界で4000万部の大ベストセラーになった『かもめのジョナサン』は、刊行までに20数社に断られた。

ジェイムズ・M・ケインの『郵便配達は二度ベルを鳴らす』のユニークなタイトルは、この小説が出版社から蹴られるたび、不採用通知を届けにきた郵便配達が決まって2度ベルを鳴らしたことからつけられた。

詩人のリー・ペニントンは、出版社から送られてくるたくさんの不採用通知を笑いに変えるべく、さまざまな楽しみ方を考案した。
不採用通知をスクラップ・ブックに貼る。コースター代わりに使う。不採用通知の裏面を招待状にした「没」記念パーティを開く。食欲がなくなってダイエット効果が上がるように冷蔵庫に貼るetc.

断りの文句自体がユーモアとウイットに富んでいて、面白いケースも多い。

ナボコフの『ロリータ』に対する不採用通知には、次のような一節がある。

《わたしがもっとも当惑するのは、作者がこれを発表したがっているという事実である。この本を出版するいかなる根拠も思い浮かばない。わたしはこれを千年間、石の下に埋めておくことを勧告する。》

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学(作家論など)
感想投稿日 : 2019年5月28日
読了日 : 2019年5月28日
本棚登録日 : 2019年5月28日

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