大江戸国芳よしづくし (ニチブンコミックス)

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本棚登録 : 114
レビュー : 13
著者 :
前原政之さん マンガ/あ行の作者   読み終わった 

 浮世絵師・歌川国芳の無名時代を描いたマンガ。

 著者の崗田屋愉一は、2011年に「岡田屋鉄蔵」名義で発表した『ひらひら――国芳一門浮世譚』で注目を浴びたマンガ家(ちなみに女性)。……だそうだが、私はこの人の作品を読むのは初めて。

 浮世絵師を主人公にしたマンガといえば、一ノ関圭の『茶箱広重』『鼻紙写楽』、杉浦日向子の『百日紅』といった大傑作が、すでにある。ゆえに、いまから類似作を描くには、それらの傑作と比較されることでワリを食う覚悟で臨まなければならない。

 私も、心の中で比較しながら読まざるを得なかった。
 崗田屋愉一もきれいでうまい絵を描くが、一ノ関圭の絵の凄みには及ばない(一ノ関は「日本でいちばん絵のうまいマンガ家」の最有力候補だから、比べるのは酷)。

 また、杉浦日向子作品の心地よい力の抜け具合、余白の絶妙な使い方に比べ、崗田屋は1ページの中に情報量を詰め込みすぎ(文字が多すぎるし、コマ割りもやや細かすぎ)で、読んでいてちょっと暑苦しい。
 
 だが、そのように先行作品と比べさえしなければ、これはこれで素晴らしいマンガである。

 物語のタテ軸は、浮世絵が好きでたまらない富裕な商人・遠州屋佐吉(実在の人物)と国芳が出会い、それを機に国芳が才能を開花させ、世に認められていくプロセス。
 そこに、殺人や役人の汚職などの事件がからんでヨコ軸となり、ダイナミックにストーリーが展開していく。

 市川団十郎(七代目)や遠山の金さん、鼠小僧次郎吉などというおなじみのキャラが重要な役どころで登場するなど、読者を飽きさせない工夫も随所にある。
 私のように浮世絵について門外漢でも、十分に楽しめる大人のエンタテインメントだ。

レビュー投稿日
2018年9月26日
読了日
2017年7月11日
本棚登録日
2018年9月26日
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