この地獄を生きるのだ うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。

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本棚登録 : 244
レビュー : 23
著者 :
前原政之さん 貧困問題   読み終わった 

2年前に出た本だが、Kindleで無料で読める著者の自伝マンガ(本書にも収録)「女編集者残酷物語」を読んだら面白かった(※)ので、手を伸ばしてみた。

※私は著者同様、月給12万の編プロで働いていたことがあるので、大いに身につまされた。

マンガになっているのは「女編集者残酷物語」のみ。あとはすべて文章である。

自殺未遂をして編集者を辞め、精神科に通いながら生活保護を受けることになった著者が、やがて働き始めて生保から抜け出すまでが綴られている。

「貧困女子もの」「メンヘラもの」は、いまやルポやコミックエッセイの分野で1ジャンルにまでなっている。
本書もその一つであるわけだが、類書がこれでもかとばかりにドギツイ話を満載しているのに比べ、あまりドギツさがない。いわば、「等身大の貧困・メンヘラ」という趣。

それでいて、描写力・観察力に非凡なものがあり、読ませる。
とくに、生活保護を受給してからの心の揺れについての、冷静かつ繊細な自己分析が素晴らしい。生保受給者の心理を当事者がここまで活写した本は、ほかにあまりないのでは?

また、ケースワーカーの対応の劣悪さや、著者がデイケアに通っていたクリニックの「闇」(どんな闇かは読んでのお楽しみ)の描写も面白い。
いや、ほんとうは「面白い」などと言っては不謹慎な深刻な話なのだ。が、著者が声高な告発調ではなく軽妙なユーモアをまぶして綴っているため、随所で笑ってしまう。

つい最近出た著者の新著『わたしはなにも悪くない』(本書の続編的な内容なのかな?)も読むことにする。

レビュー投稿日
2019年7月2日
読了日
2019年7月2日
本棚登録日
2019年7月2日
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