音楽マンガガイドブック (音楽マンガを聴き尽くせ)

制作 : 野中モモ  多屋澄礼  安田謙一  田中千絵  大谷由美子  ばるぼら  岸野恵加  渡部雷太  井口啓子  井上貴裕  足立守正  澤部渡  高橋健太 
  • DU BOOKS (2014年3月14日発売)
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感想 : 3
4

 タイトルのとおり、1950~2010年代までの「音楽マンガ」を網羅したガイドブックである。版元のDU BOOKSはディスクユニオンの出版部門だ。

 当然、音楽家やロックバンドなどを描いたマンガの紹介が中心である。
 それ以外に、音楽に強くインスパイアされたマンガ、音楽がストーリーの中で重要な役割を果たすマンガ、さらには『ドラえもん』や『ブラックジャック』などの有名マンガに登場する音楽ネタまでが紹介されている。

 また、細野晴臣(『三丁目の夕日』の西岸良平とは高校の同級生で、自身もマンガ家を目指していた)や坂本慎太郎(元ゆらゆら帝国)など、ミュージシャンにマンガの話を聞くインタビューが合間に登場する。

 いまどき珍しい小さな字で、すごい量の情報がぎっしり詰め込まれている。
 アマゾンのカスタマーレビューで、本書を「それにしても高すぎる。800円ぐらいの本の内容」と腐している人がいるが、そんなことはない。この情報量で2000円を切る価格は、むしろ安すぎるくらいだ。

 未単行本化の短編まで拾い集めているなど、作品のセレクトはかなり網羅的で、たいへんな労作だと思う。

 この手の本を読むと、マニアックな読み手ほど、「あの作品が抜けている」「あの名作を取り上げないとはどういう了見だ!」と、「抜け」ばかりが目につくものだ。しかし、本書に関して私はほとんどそれを感じなかった。むしろ、知らない作品もけっこう多かった。

 私が感じた「抜け」は、「宮谷一彦のジャズ劇画を取り上げるなら、『75セントのブルース』や『魂の歌』、『不死鳥ジョー』(元ボクサーの主人公が「ドック・オブ・ベイ」のカバーで歌手デビューする短編)も取り上げて欲しかったな」とか、「柳沢きみおの『真夜中のジャズマン』を取り上げているが、彼の音楽マンガといったら断然『流行唄(はやりうた)』だろうに」……というくらい。

 まあ、あまりにも総花的で、その分個々の作品の掘り下げが浅いうらみはある。
 あと、ヴィジュアルが単行本の表紙一辺倒というのは、ちょっと芸がないし、寂しい。
 だが、それは「隴を得て蜀を望む」たぐいであって、音楽マンガのガイドブックとしては上出来だと思う。

 資料的価値も高い。
 『FMレコパル』の「ライブコミック」(マンガ家たちにミュージシャン・作曲家の短編伝記マンガを描かせた名物シリーズ)全作品リストとか、オマケ的ページもなかなか凝っているし……。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ(評論など)
感想投稿日 : 2018年10月13日
読了日 : 2014年5月28日
本棚登録日 : 2018年10月13日

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