諏訪式。

著者 :
  • 亜紀書房 (2020年9月26日発売)
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本棚登録 : 80
感想 : 10
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もともと諏訪大社に関係する諏訪特有の信仰体系については興味を持っていたし、諏訪には一度訪れたこともあった。しかし、諏訪に生きていた人たちのことはほとんど知らなかった。この本は、諏訪に限らずどの土地もそこに生きていた人たちの積み重ねてきた風土があるのだということを再認識させてくれた。

諏訪は岩波書店の創設者である岩波茂雄、作家の新田次郎や建築家の伊藤豊雄などのさまざまな人材を輩出したという。それだけでなく、諏訪は富岡製糸場が作られたように明治政府の掲げた殖産興業の主力として扱われた製糸業の中心地であっただけでなく、諏訪で独自に開発された諏訪式器械が可能にした高品質かつ大量の生産が日本の近代化に大きく貢献したという(http://web.tuat.ac.jp/~jokoukai/kindainihonnoisizue/archive/sangyo/sangyo.htm , http://www.naro.affrc.go.jp/archive/nias/silkwave/hiroba/Library/SeisiKD/60SKD2007/2_Shimazaki.pdfなど)
そこから精密機械業・ハイテク産業へとシフトしていく様を、あくまで土地の人びとの目線に立って行った丹念な取材に基づいて丁寧に記述しているところに好感が持てた。

新型コロナを機に地方へと移住する人が増えているようだが、著者の都市の価値観をそのまま地方に持ち込むことは慎重になってほしいという提言が印象的だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2020年12月13日
読了日 : 2020年12月13日
本棚登録日 : 2020年12月13日

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